第30回上川町ふる里まつり

訪問日:2007年8月25日(土)

場所:上川町南町公園

上川町は林業の町で,かつては上川営林署,大雪営林署という2つの営林署を抱えていた。国道の石北峠が整備されてからは,層雲峡温泉の開発が進み,観光の町としても知られるようになったが,2006年11月に旭川紋別自動車道が開通すると,市街地を通過する車が減り,いまはひっそりとした町になっている。

ふる里まつりは,町民の和を合い言葉に毎年8月下旬に行われている。1日目はカントリーパレードに,百人踊り,仮装盆踊り,2日目は町内対抗玉入れ,綱引き大会などと盛りだくさんのプログラムで,あまり洗練されてはいないが元気だけはあった頃の,一昔前の田舎町の雰囲気を現代に伝えているイベントである。

18:10〜18:30 子ども仮装盆踊り大会

まつりの司会進行は男性と女性のペアが担当していたが,どうも覇気がなかった。段取りも悪く,盆踊りの参加者をわざわざ受け付け番号順に並ばせるのである。番号を呼んでも参加者が来ないので,開始時刻が10分も遅れ,会場はすっかりしらけてしまった。

そこに現れた救世主が,このまつりの実行委員長である。はじめ審査員席に座っていた実行委員長は,自ら輪の先頭に立って踊り,その躍動感あふれる踊りに観衆は魅了されていた。主催者自身が踊りを軽視している盆踊りというのも実際のところ少なくないのだが,実行委員長直々にこうした気合いの入った踊りを見せてくれるのは,大変珍しく嬉しいことである。

ところで,直前まで持田ヨシ子盤の子供盆おどり唄が流れていたのだが,踊りが始まると三橋美智也の北海盆唄に切り替わった。子どもたちもあまり踊れていないので,テープを間違えたのかと思ったが,そうではなかったようである。踊りの後で実行委員長に尋ねると,「ラジオなどでも最近そういうことが話題になっているようだが,ウチでは北海盆唄でやっている」とのこと。子供盆踊りを北海盆唄で行うのは,ほかに三笠北海盆おどりの例があるが(三笠では子供盆おどり唄と併用している),かなり珍しい。輪が時計回りで進行している点でも,特異な子供盆踊りだといえる。

子ども仮装盆踊り大会動画(4.2MB)

仮装は個人と団体に分けて審査が行われた。衣装は手作りの素朴なものが多かった。団体の部の優勝は,秋葉原風のメイドの仮装をした白滝ジュニアバレエクラブが受賞した。メイド服は手作りで,ビニルで作った前掛けが微笑ましかった。

19:40〜20:15 大人仮装盆踊り大会

百人踊りとカントリーパレードを挟んで,いよいよ大人仮装盆踊り大会である。今度もまた番号順に参加者を並ばせていたので,スタートに手間取ったが,仮装はかなり凝ったものだった。輪は3重になり,子供盆踊りと同じく,時計回りで踊っていた。

大人仮装盆踊り大会動画(8.1MB)

北海盆唄は背後の舞台で生で演奏され,太鼓は層雲峡峡谷火まつり太鼓の子どもたちが担当していた。子どもが大人盆踊りの太鼓を担当するのは珍しい。伴奏には三味線が入り,間奏を通常より4拍多く取っていた。「おらが国さのコーリャ」の後の,「ヤーレン」は珍しいが,これはなかなか美しい響きだった。

唄い手は暗唱で唄っていたが,歌詞の種類は多いほうで,主なものは次のとおりである。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
揃ろた揃ろたよ 踊り手が揃ろた 秋の出穂より よく揃ろた
団扇片手に 涼みの浴衣 行こうか踊りに (広場まで)
沖でドンどは 波音瀬音 陸でドンどは 樽囃子
唄え囃せよ 手拍子揃え 櫓囲んで 盆踊り
踊り見に来て 踊りの中で 何時か手を振る 浴衣がけ
踊り踊りたし この子が邪魔だ この子騙すような 守り欲しい 
踊り踊る娘が 何故足袋履かぬ 履けば汚れる 褄切らす
浜は大漁で 砂利まで光る 姉コ年頃 肌ひかる
高い山から 谷底見れば 瓜や茄子の 花盛り
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ いつ来たか
○○○○○○○ ○○○○人に おらが自慢の 盆踊り
山は大雪 頂見せて 川の石狩 たすきがけ
男度胸なら 石狩川の 水の流れを 止めてみろ
○○○○○○○ 夜遊びなさる まして若い衆は 無理はない
北海名物 数々あれど 一に追分 盆踊り
今年や豊年 ほに穂が咲いて 道の小草に 米が成る
道の小草に 米成る時は 山の木萱に 金が成る
あの娘よい子だ 踊りが上手 婿に行こうか 嫁にしよか
昔お国を 一人で出たが 今じゃおしどり ○○○○○
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
貴方百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の はえるまで
山で暮せば 侘いものよ 水にコブシが 散るばかり
※「○○○」は歌詞不明,(   )内は一般的な歌詞からの推測