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第9回山遊(まぶ)の里まつり

訪問日:2010年8月21日(土)

場所:遠軽町JR白滝駅前広場

2005年10月に生田原町,遠軽町,丸瀬布町と合併し,新しい遠軽町の一部となった白滝地区(旧白滝村)の夏祭りである。道内有数の奥地に位置する山村とはいえ,黒曜石の産地であるゆえ旧石器時代から文化に富み,オホーツク圏の玄関口としての役割を果たしてきた誇り高き地域である。合併は想像を絶する苦渋の決断であったに違いない。

会場はJR石北本線の白滝駅前広場である。白滝駅の標高は365メートルと,道内の特急停車駅としてはトマム駅(旧石勝高原駅)に次いで高所にあり,高原特有の清々しい雰囲気がある。停まる列車の数は少なくても,このような祭りが駅前で開催されているのを見ると,やはり駅はまちのシンボルなのだと感じる。

日曜のマブまつりに対し,盆踊りは前夜祭としての位置づけで,まつりの実行委員会とは別に盆踊り実行委員会を組織して開催されている。少雨決行とは頼もしい。

 

旭川から特別快速「きたみ」で16時32分に白滝駅到着。到着した時には「白滝じゃがと遊ぼうポテリング」が行われていた。これは,ブルーシートに描かれた輪の中にじゃがいもを転がして入れ,点数を競うというもの。いもを作って何十年という参加者も多く,さすがにいもの扱いには慣れているようだった。

優勝者には丹羽農場のじゃがいも1箱とゲームに使ったブルーシートが贈られた。

18:00〜 子供盆踊り

子供盆踊りは,最後の「シャンコシャンコ」の箇所を除くとほぼ完ぺきな振り付けで,大変きれいな踊りを見ることができた。円心方向に前進後,つま先をチョンと突くと同時に,頭をかしげるのもごく自然にできており素晴らしい。

 

驚いたのは「赤くほんのり」の箇所である。この箇所は子供盆おどり唄の中でも最も難易度が高く,全道的に様々な振り付けのバリエーションが見られる。オリジナルの振り付け者である睦哲也氏自身にも迷いがあったのか,出典により2種類の振り付けが存在する。写真右は睦哲也著『民踊の旅』(東京全国舞踊文化連盟,1954.3)に掲載されたものであるが,片手を前方に置いたままもう一方の手を後方に流している。この振り付けにかなり近い形を,本会場で初めて見ることができた。白滝にだけこのバージョンでの振り付けが代々伝えられているわけもないだろうし,たまたまだとは思うが,きちんと踊ると非常に品があり,通常のバージョンに比べて格調の高い振り付けだと思った。

子供盆踊り動画(MP4,4.2MB)

子供盆おどり唄は持田ヨシ子盤で,京都・市原栄光堂より発売されているCD「仏教童謡 みほとけさまのこどもたち〜花まつり行進曲入」に収録されている音源が使用されていた。

30分ほど踊りが続いた後,踊っている子供たちに景品が渡された。踊りの最中に景品を渡すとは何とも強引なやり方だが,それまでの踊りが充実していたので,これも潔くて良かったのかもしれない。景品は,森永ビスケットの「マリー」24枚入りだった。子供たちは景品を手に持ったまま,さらに数分踊りを続け,18時37分に終了した。

農業倉庫の並ぶ駅前広場には,多数の出店があった。

  

 

遊戯コーナーが大変充実しており,子供たちの楽園のようだった。子供たちが意外なほど多かった一方,青年世代の人達がほとんどいなかったのは厳しい現実である。

   

飲食ブース。肉を含め,素材からして地元産で手づくりのものが多かったのがすごい。

2010年の国勢調査で,旧白滝村の人口は約900人である。900人の地区でこんなに充実したイベントができるのかと驚いた。現在,白滝地区には特段の産業がないように見えるが,逆に言うと,特段の産業がなくて900人が住んでいるというのは,なかなかすごいことで,こういうイベントができるのもおかしくはないわけである。

19:00〜 大人盆踊り,仮装盆踊り

約30分の休憩を挟み,大人盆踊り,仮装盆踊りが始まった。グループでの参加が多く,「ハイジと愉快な仲間たち」「AKB48」「ゲゲゲの鬼太郎と妖怪たち」などほのぼのとするテーマが多かった。

音源は三橋美智也歌唱の北海盆唄が使用されていた。太鼓は白滝平山太鼓だ担当していたが,曲と合っていなかったのが惜しまれる。太鼓が合っていないことには,叩き手も踊り手も気づいており,「もう心持ちゆっくり」などと何とか合わせようとする努力は試みられたが,なんとしても合わない。早い遅いの問題ではないのである。三橋美智也盤はII型北海盆唄の原典というべきものだが,通常の盆太鼓では合わないようであり,もし使用するのであれば,これ用に太鼓をアレンジしなければならない。

大人盆踊り,仮装盆踊り動画(MP4,13.2MB)

19時37分,いったん踊りを中断し,盆踊り実行委員長挨拶と昨年の優勝旗返還のセレモニーが行われた。挨拶によると,今年から個人の素踊りの審査を廃し抽選で順位決めをするとのこと,また,盆踊り実行委員会は今年で解散し来年からは山遊の里まつりの一環として行うとのことである。

再開した踊りは,20時ちょうどで終了。

20時10分から,しらたき山遊の里花火大会が始まった。駅構内への立ち入りは禁止が命じられたが,20時36分発の列車に乗るのでホームに出ざるを得なかった。ホームから見る花火は圧巻だった。審査結果の発表はこのあと20時40分から行われたはずである。

なお,山遊の里まつりは,2014年から「アンジくんのふるさとまつり」と名前を変えて継続されている。