神恵内魅力まつり2014

訪問日:2014年8月23日(土)

場所:神恵内村イベント広場

積丹半島の南西部に位置する神恵内(かもえない)村は,かつてニシン漁で活況を呈し,ピーク時の明治末には人口5,000を超えた。その後は戦後の引き揚げ者で一時盛り返すことがあったものの人口減少の一途をたどるが,現在も水産加工が盛んであり一定の村勢を維持している。

 

神恵内村の人口がついに1,000人を割り込んだ2012年,村内のフェイスブック利用者などが集まり「神恵内村魅力創造研究会」を結成した。翌2013年に村内で長らく途絶えていた盆踊りを復活させようと「神恵内魅力まつり」を開催,神恵内音頭も22年ぶりに披露された。

2014年の神恵内魅力まつりは,前年に続き第2回目の開催となる。直前まで出ていた雨の予報は外れたものの,強風の中での開催となったが,手作り感あふれる会場には多くの村民が集まっていた。会場は郡名にもなっている古宇川の湾頭部に位置するイベント広場である。

17:00〜 餅まき

 

盆踊りに先立ち,17時から餅まきが行われた。餅まき者は村田憲俊道議会議員,高橋昌幸神恵内村長,副村長,太陽財団現地調査員,北星学園大学ソーシャルビジネスサークルPlus+代表,神恵内村魅力創造研究会会長,同会監査の計7名と紹介があった。あらかじめ大人は向かって右側,中学生以下と保護者は正面に移動するよう指示があり,一部に商品券の入った餅がまかれた。

 

会場にはビアガーデンが併設され,おにぎり100円,えだまめ100円,キュウリ1本漬け100円,味付けたまご50円,厚揚げ焼き100円,豚串・鳥串・つくね100円などが販売されていた。焼きそば1パック500円などという祭りの出店が多い中,かなり安価な価格設定で,厚揚げや串は早々に売り切れていた。神恵内名物の焼きホタテ(1枚150円)も人気があった。

こども縁日コーナー。

盆踊り 17:30〜

予定より10分ほど遅れて盆踊りを開始。子供と大人を分けることなく,はじめから北海盆唄で行われた。北海道の盆踊りとしては比較的珍しいが,もともと子供盆踊りの伝統がないのか,それとも子ども盆おどり唄の音源が用意できなかったからなのかは不明である。なお,この地方の中心都市である岩内では子ども盆おどり唄が使用されている。音源は「盆の踊りに つい見染められ 嫁にくれとは 恥ずかしや」というの歌詞の入った初めて聞く録音盤だった。

盆踊り動画(YouTube)

縞のシャツを着た不思議な生物は「どらごん太」といい,写真後方に写る竜神岬にちなむ村の伝説をもとに,1992年に制定された村のイメージキャラクターである。

18時で踊りが終了。中学生以下の子供たちは縁日コーナーでキャラメルコーンやチョコレートなどが入ったお菓子の詰め合わせを受け取っていた。

18:00〜 神恵内音頭

間を空けず,神恵内音頭が始まった。神恵内音頭は昭和57年(1982年),開村110年を記念して制作されている。作詞は勝目有,作曲は山口祐功とされているが同一人物で,勝目有はペンネームである。元高校教諭で島倉千代子が歌った流氷音頭の作曲者としても知られている。歌詞はレコード化の際に一部改変されている模様で,「キス熊」が「窓岩」に,「落ちる夕日はキナウスの海」が「落ちる夕日は日本一と」に,「ウエンチクナイシシャモナイ」が「ウエンチクナイ燃ゆる岩」に変わるなどしている。いずれにしても,神恵内の風物が読み込まれた美しい詩と旋律は,道内に数あるご当地音頭の中でも屈指の名作と思われる。踊りも品のある振付けがなされており素晴らしい。

15分ほどたっぷり踊り,休憩に入った。

神恵内音頭動画(YouTube)

盆踊り,神恵内音頭を通じて密かに仮装の審査が行われており,18時50分,仮装賞として第3位,準大賞,大賞の発表が行われた。

プログラムでは19時からビンゴ大会となっていたが,もっと踊りたいという声があったのか,再び北海盆唄による踊りが始まった。仮装の審査は終わったものの,ここから新たに加わった仮装の踊り手もおり,村の人たちがいかに待ち焦がれていた盆踊りであるかがわかる。

10分ほど踊った後,会場にいる全員にビンゴカードが配布され,先着10名に村内で使える「どらごん太商品券」が当たった。

お盆をだいぶん過ぎてからの開催となるのは,村の一線で活躍している人たちが運営を担っているだけに,夏休み中は忙しくて手が回らないからだという。それでもこうして盆踊りが復活した村には幸せが一つ増えたのではないか。