[ 館内ご案内 ] [ 地 図 ] ニニウのこれから 北海観光節

参考文献

●『占冠村史』:占冠村役場,1963

 故・岸本翠月がほとんど一人で編纂された村史である。岸本は中富良野町在住の作家であり郷土史研究家である。昭和30年代から40年代にかけて南富良野村史を始めとして富良野沿線の町村史を執筆されている。近年の市町村史は資料をもとに章ごとに専門家が機械的にまとめることが多いようであるが,岸本史の手になる町村史は文人らしく随筆のように読んで楽しいものとなっている。実際に歩いて書くという信念のもとニニウの生活の様子も詳しくかかれており,ニニウの独自性のひとつはこの村史の第三部「郷土別六十年史」により詳細な過去の記録が残っているということにある。ニニウに隣接する穂別町福山は穂別町史をみてもほとんど記録がないことに際立った対比をみることができる。

●『近代僻地教育の研究』:榎本守恵著,同成社,1990

「第4章占冠ニニウの実態と歴史―『占冠村ニニウの教育計画に関する研究』の一前提―』」として,教育に関する文献でありながらニニウの歴史や生活実態の紹介に大部分のページを割いている。ここに,北海道研究の第一人者であった榎本氏にとってもニニウが特筆に価する地区であったことが分かる。
 この論文は占冠村史よりも前,昭和34年に発表されたものであるが,平成2年の本書出版に際して「付記」として,
「近年になって,札幌・千歳・新夕張を経,ニニウを通って新得・帯広へ通ずるJR石勝線が昭和56年10月完成,ニニウは農家1戸残存,ニニウ自然公園となり,旧ニニウ部落は雲散消滅した。」
と付け加えている。映画かドラマの最後にテロップとして流れてきそうな一節だ。

●『しむかっぷの水害』

 非常にマイナーな文献であるが,村史同様,岸本翠月により編纂されている。昭和37年の大洪水の記録を中心にまとめられたものである。占冠村は鵡川水系の最上流部に位置するがこのような大洪水に見舞われたことは驚きである。ニニウは村の最下流部にあるが被害は他の地区よりも少なかったといわれる。富良野市の図書館と占冠村の図書館で所蔵を確認している。

●Village Japan : the four seasons of Shimukappu / photographs by Nicholas DeVore III. - New York : Weatherhill , 1993

 すてきな写真集で私も1冊持っている。カメラが非常に自然な村人の表情をとらえている。ニニウの四季の写真もおさめられており,廃屋などは良い記録写真ともなっている。占冠村のホームページで一部閲覧できるほか,ホームページ上での販売も行っている。また,占冠駅隣接の物産館でも販売している。ちなみに,私のパソコンの壁紙はこの写真集からとったものを日替わりで使っている。

●『日本の湖沼と渓谷1,摩周・サロマ湖と日高の渓谷』:第一アートセンター編,ぎょうせい,1987

 「秘められた峡谷のおもかげ―ニニウ渓谷赤岩青巌峡」の章があり,北大名誉教授・橋本誠二が著している。ここでも渓谷の本でありながら本文の主題はニニウの生活史に置かれている。鬼峠ルートの変遷の地図,石勝線鬼峠トンネルのエピソードが載っている。

●『占冠村開基90年誌』:占冠村開基90周年記念事業協賛会,1992

 比較的最近までの動向がわかる。他にも村発行の資料はいろいろある。しかし,昭和38年の村史以降のニニウ廃村に至るまでの経緯を記録した文献がないのは残念。なお,付録として「開拓入植者の記録」がついており,明治・大正期と昭和期のニニウ殖民区画への入地者が地図に記載されている。こういう記録があること自体珍しいことだが,無住地と化してもなおこのような資料を作成するところに占冠村のニニウへの思い入れがわかる。

●『占冠ガイドブック』:占冠村・占冠村観光協会,1987

 A5判32ページの小冊子で,ニニウ自然の国計画や鬼峠,鬼流橋のエピソードが載っている。今となっては手に入れるのも難しいだろうが,札幌市中央図書館と追分町の小さな旅の資料館で所蔵を確認している。

●『石勝線建設工事誌』:日本鉄道建設公団札幌支社,1982

 石勝線の建設工事はニニウに大きな影響を及ぼした。また,工事関係者にとってもニニウは大変なところだったようである。その辺のエピソードが興味深い。

△戻る

出口