北海観光節小さな旅行記島サミットまであと6日

島サミットまであと6日 その1 トマム街道

2009年5月15日

今月の22日〜23日,太平洋諸島の16の国・地域の首脳が集まって太平洋諸島の課題や将来について話し合う,第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(通称:「太平洋・島サミット」)が,占冠村のトマムにおいて開催される。

日本の麻生総理大臣をはじめ,各国の大統領・首相とその夫人が占冠村に集まるという,世紀に一度あるかないかのイベントである。その雰囲気を少しでも味わいたいと思い,歓迎ムードに包まれる開催地を訪ねてみた。

 
道庁が作成した島サミットのポスター。右の写真は道庁ロビーで開催された原画展の様子。


トマムへは,旭川から富良野,落合を経て入るのが,トマム街道と言うべき本来の道筋である。北海道の鉄道は明治15年に幌内鉄道が全通した後,同31年に旭川まで延伸,旭川から十勝線を分岐して,明治33年下富良野(現在の富良野)まで,同34年には落合に到達した。その先に狩勝峠があったため鉄道の延伸は落合で小休止し,落合は工事関係者や造材関係者で繁栄を見たが,トマムはその落合を拠点としてルーオマンソラプチ川上流から鵡川上流部に渡る高原地帯に拓かれた開拓地である。

 

旭川駅5時47分発の富良野行き普通列車に乗車。今日は道北一日散歩きっぷを使う。

「JR北海道は『太平洋・島サミット』を応援しています」とのこと。

 

7時04分,富良野駅到着。

富良野駅発7時22分発帯広行き普通列車に乗り換え。

富良野駅のキヨスクで買った北海道新聞。道新旭川支社でも島サミットの広告を出していた。

 

8時26分,根室本線落合駅に到着。今は無人駅となったが,風格のある山間の駅だ。

トマム行きのバスが来るまで1時間弱あるので,駅周辺を散策してみる。

落合市街地。落合は,消防や交番,郵便局,旅館に診療所もある集落だが,年々寂しくなってきてはいる。

小出百貨店

落合の中心的存在となっている小出百貨店。建物には「サッポロビール」「KOKUYO」「サントリーオールド」「よつ葉3.4牛乳」「コカコーラ」「ハローガス」「くすり」「デジタルはCASIO」と,いろいろな看板が掲げられていた。田舎町によくある雑貨店の中でも,とりわけ取扱品目が多いように思われる。

ランチボックスおちあい

小出百貨店の向かいには,24時間営業の弁当屋「ランチボックスおちあい」がある。ここは私も実際に弁当を買ったことがあったが,しばらく前に廃業してしまったようである。

旧落合郵便局

母屋と局舎が廊下でつながっていて,一見して郵便局だったとわかる建物が残っていた。窓まわりのデザインなども凝っていて,富良野近郊ではなかなか見られない歴史的建築物である。

 

ほかにも,木造板張りのスナックや「電機米穀店」などという珍しい取り合わせの店など,趣深い商店街だった。

落合の全盛期は,明治34年から40年にかけての十勝線の終点だった時代で,戦後の造材ブームが下火になると,人口は減少の一途をたどった。

しかし,ここ数年,落合に移住してくる人が増えており,落合はにわかに活気づいているように見える。彼らの多くはトマムリゾートや,落合からトマム方面に少し入ったところにあるどんころ野外学校との関わりの中で移住してきた人たちで,そういう意味ではトマムリゾートの影響は落合にも及んでいるのである。

フォーチュン ベーグルズ

その落合に,この4月,パン屋さんがオープンしたというので驚いた。Fortun Bagelsというそのパン屋さんは,駅のホームから直線距離なら1分とかからないが,跨線橋を渡っていくと5分ほどかかるところにあった。

 

朝7時から営業という,いかにも健全なパン屋さんで,民家を改修したらしい工房は細部までデザインが作り込まれていた。

パンも健康的なベーグルがメインで,いちじくというのが珍しいので買ったら,ジューシーないちじくがたくさん入っていて驚いた。

先日占冠村のある人が言っていた「パン屋さんのある町に住む人がうらやましい」という言葉を印象深く聞いたが,近所にパン屋さんがあるということは生活に大きな潤いを与えてくれるものだと思う。

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