北海観光節小さな旅行記滝上の7つの体験

錦仙峡

2012年5月13日(日)

5時40分起床。ホテル渓谷というだけあって,客室からも錦仙峡の渓谷が見えた。

今日は6時30分から,オプションではあるが,7つの体験の5つ目として「渚滑川の会が案内する錦仙峡の自然」という朝の散策が行われる。

ホテル前に集合。

たきのうえ風「あさの散歩」と称するこの企画は,一昨年から春と秋に行われており,「渚滑川の会」の観光協会認定ガイドの案内で錦仙峡の遊歩道を歩くことができる。

今シーズンは本日5月13日から6月10日まで,毎週日曜日の開催で,予約不要,参加費500円のみで誰でも参加することができる。

渚滑川はホテル渓谷付近から滝上市街地にかけて渓谷をなしており,錦仙峡と呼ばれる。市街地に渓谷がある町というのは全国的にも珍しい。渓谷沿いの遊歩道は「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれており,左岸には一部バリアフリーの遊歩道も整備されている。「あさの散歩」ではホテル渓谷から市街地に向かって洛陽の滝までのバリアフリーコースを歩く。

寒い中,ガイドを含めて十数名が集まった。

渚滑川の会代表の鴻上さんが案内してくれる。

渚滑川の会と聞くと,釣りやカヌーの愛好団体かと思ってしまうが,実際は平成19年に設立された滝上の一般住民による自然ガイドの団体で,活動の中心となっているのが,この朝の散策である。

 

おおきなカタツムリ,アズキナシの実。

 

ガイドの人たちが特に熱心に案内してくれたのが,野鳥だった。今日はこのあと8時から,日本野鳥の会オホーツク支部による探鳥会が行われることになっている。滝上では初めての開催だという。

自然観察はともあれ,ここにきて,ようやく生粋の滝上人と思われる人たちに会うことができた。職業は,理容店,自動車整備工場,役場などいろいろのようだった。商工会関係の人たちがこういう取り組みに参加するというのは,非常に珍しいことだと思う。

滝上では外貨を稼ぐという意味合いで,数値目標を設定して観光客を多く呼び込もうとしているそうだが,立地条件からいって入込客を増やすのはやはり限界があると思う。外貨を稼ぐことも重要であるが,特に滝上のような立地条件の場合は地産地消の割合を高めていくことがこれからの方向性だと思う。そのためには,住んでいる人たち自身が町に魅力を感じることが必要である。その意味で,観光客の役割は,経済的効果だけにあるのではなく,観光客と地元の人の交流によって地元の人が自分のまちを再発見するきっかけを作ることにもあると思う。

この朝の散歩では,まさに地元の人たちと観光客との交流によって,滝上の人たちがいろいろなことに気付き始めている様子が感じられ,とても魅力的な取り組みだと思った。

散策コースの見せ場,洛陽の滝。発電と水田用水確保のため,昭和7年から8年にかけて建設された堰である。サクラマスはこの滝の下まで遡上してくるという。

急流ゆえ,過去には不幸なこともいろいろあったという。慰霊のため弘法大師の像が祀られていた。

渚滑川は釣りでも全国的に知られている。平成21年度には「渚滑川魚族保護のためのキャッチ&リリース条例」という全国的に見ても先進的な条例が施行されている。

ヒグマの骸骨。ガイドの方の自宅近くで見つけたヒグマの死骸から取り出したものだという。人家の近くで行き倒れになるとは,ヒグマにしてもよっぽどの事情があったのだろう。

歩いた距離は往復で500m程度。距離的に若干物足りない気もしたが,予定どおり40分で戻ってきた。皆様おつかれさまでした。

 

ホテルに戻り,朝食をいただいた。

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