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層雲峡からは路線バスで旭川に向かう。層雲峡〜上川駅間は10.5往復のバスの便があり,うち7往復が旭川に直通している。
上川市街までの間,ドライブインや農家の廃屋が点在していた。昭和30年代,観光ブームと造材ブームが両方一気に訪れ,そしていまではどちらも衰退してしまった,独特の風景である。
上川市街通過。上川駅到着時に,「周遊券,船車券をお持ちの方はお手数でも切り離して……」と,時代がかった放送案内があった。
愛山渓入口で下車。
愛山渓ドライブイン。昭和40年代,誰もが車を持つようになり,各地の国道沿いにタケノコのように建ったドライブインも,今は淘汰されて風前の灯であるが,この愛山渓ドライブインは,道内でも数少なくなった正統派ドライブインの一つである。昭和45年に開業している。
平成18年に無料の旭川紋別自動車道が開通して以来,国道39号線の交通量は激減しているが,ほそぼそと営業を続けていた。
メニューはラーメン,そば,うどん,定食などいろいろあるが,今日は結構歩いたのでザンギ定食を頼んだ。
先ごろ亡くなった寛仁親王殿下も常連だったという店である。北海道の一時代を後世に伝えるドライブインとして,これからも営業を続けていってほしいものである。
ドライブインの迎えにあった下り線のバス停。立派な待合所があった。この辺は旭川から40kmしか離れていないが,はるか異郷の地に来たような感慨がある。
待合所には愛山渓温泉の案内図も掲げられていた。
愛山渓温泉はこの先19km。かつてはバスの便があったが,現在は歩くしかない。ここから歩いて訪れるのもひどく旅情がありそうであるが,そういう旅行者は年間に何人くらいいるだろうか。
先ほど乗ったのが上りの終バスだったので,JRの駅まで歩く。位置関係がはっきりしなかったが,ドライブインで訪ねると,安足間と東雲,どちらも1kmほどとのことだった。旭川寄りの安足間まで歩くことにする。
国道から愛山の集落に入る。駅名は安足間だが行政区としては愛山を名乗っている。かつて林産業で繁栄した集落だったが,林業の斜陽化により衰退した。それでも,郵便局や交番があるそれなりの集落である。近年は地域を活性化しようと,住民によるイベントも企画され,注目を集めている。
住民有志による「アンタロマンの会」が設置した愛山湧水公園。
喫茶店,お寺のきれいな庭,この土地が好きで住んでいる人がいるということが感じられた。
駅前の商店街。現在,常時営業している店舗はなく,曜日限定でかつての食料品店が臨時営業している状況という。
ルピナスの咲くホームはいかにも石北本線らしい景色。
この列車は,北見峠を越える唯一の上り普通列車として,鉄道ファンには知られた存在である。急こう配を越えるため2両連結で運転されているのであるが,乗客は皆無だった。
愛別も当麻も乗客なし。外出禁止令でも出されたのかと心配になるほど町は静かだった。
南永山駅でようやく4名の乗客があり,ほっとした。
最寄りの旭川四条駅で下車。
四条駅も隣に鉄道用品の店と釜揚げうどんの店ができて雰囲気が変わったが,当分の間は昭和の雰囲気を保ってくれるだろう。
旅行記終了。読んでいただきありがとうございました。