黄金本通から20分ちょっとでカナディアンワールド公園が見えてきた。北側の駐車場は通常使用されておらず,車の場合はここからさらに1kmほど下った南のゲートが入り口となる。
ブライトリバー駅。『赤毛のアン』の冒頭で,マシュウとアンが出会う場所である。
カーリートレインはライブハウスとして使用されており,この日はちょうど「カナディアンワールド全道インディーズフェスティバル勝手に出やがれ!volume.33」が開催されていた。
1日2回,アンとダイアナによるミュージカルショーが開催されていたというピラミッドホール。右の写真は旧版市パンフレットより。
園内には延長1,060mに及ぶミニ列車が走っていた。線路は廃線には見えないくらいしっかりしていたが,機関車の不具合で数年前から運行が休止されているという。
在りし日の列車「カナディアンロッキー」。旧版市パンフレットより。
そしてショッピング&グルメタウン。右写真はカナディアンワールドリーフレットより。
無料公園となって,建物だけが残っているのかと思っていたら,今もたくさんのテナントが営業しているので驚いた。
カナディアンワールドは,19世紀のカナダと「赤毛のアン」の世界を再現したテーマパークとして,1990年に開業した。北海道では帯広のグリュック王国,登別の伊達時代村,天華園などと同時期に隆興したテーマパークの一つだったが,経営不振により1997年を持って有料のテーマパークとしての営業を終え,以後は無料の市民公園として開放されている。
テーマパークとして営業していた時代は,ちょうど私が中学生から大学生に至る時期で,結局一度も訪れることなく今日まで至ってしまった。今回思い立って訪れたのは,もう廃墟然としているのではと思っていた施設群が,先日観た映画「野のなななのか」で意外ときれいに映っていたからである。
PRセンター。
ここで,先週できたばかりだという,野のなななのかのロケ地マップを手に入れた。
「北海道ラウンドきっぷ」のカナディアンワールド版は今年5月8日から発売になった。
園内は驚くほど広い。この広さが敬遠されたのではと思えるくらいに広い敷地に様々な施設が点在している。
丘に上がって,街を見下ろす。赤毛のアンの舞台,プリンス・エドワード島と風景はよく似ている。露天掘り跡の窪地だそうで,園外の人工物はまったく目に入らない。ここに赤毛のアンのテーマパークを作ろうという発想は良かったのではないか。
アンの教会。実際に結婚式も数多く行われたという。こういう思い出の場所をなくしてはいけない。
オルゴール美術館のテラ・ノーヴァ。
コンクリートの階段。そこになぜか「フォトスポット」の立札があった。
カナディアンワールドのリーフレットの表紙の写真がこのアングルで撮られているのだった。
オーチャードスロープ。アンが腹心の友と言ったダイアナの家。
そしてグリン・ゲイブルス(緑の切妻),これがアンの家。『赤毛のアン』の原題が『Anne of Green Gables』であるように,物語を象徴する建物である。プリンス・エドワード島に実在している本家のグリン・ゲイブルスを,内外とも忠実に再現して作られている。
中は自由に見学できるようになっていた。
アンの部屋。窓の向こうには実際にダイアナの家が見える。ベットの上にはマシュウがクリスマスにプレゼントしてくれた茶色のドレス。アンがずっと欲しがっていた「ふくらんだ袖のドレス」だ。
マシュウの部屋。少し偏屈そうな男のマシュウは,孤児院から男の子をもらおうと思って駅に迎えに行くのだが,手違いによりアンがやってくる。とても朗らかなアンを,意外にもマシュウはすんなりと気に入る。しかし,もし自分の前にアンのような少女が現れたなら,マシュウのように受け入れることができるだろうか。まったく想像ができない。