北海観光節小さな旅行記三箇線で行く鬼斗牛山と突哨山

三箇線で行く鬼斗牛山と突哨山 その5

 

カタクリ広場から再び突哨山の林の中に入る。

ぴぴの路〜扇の沢ルートに比べると,こちらのカタクリルートは散策者が多かった。12時30分には,自然散策ガイドツアーもカタクリ広場を出発している。

 

13時を過ぎ,カタクリの花びらもかなり反り返ってきた。

三角点分岐から木もれび分岐までの「木もれびの路」。突哨山の中でもカタクリ群落が特に見事な場所だという。

谷渡り分岐。花案内人が常駐している。

ここから分岐する谷渡りルートでは,スキー場跡の鉄塔を見ることができるという。

13時半過ぎ,国道40号線に近い突哨山口に出た。

いよいよ本日のお楽しみの昼食である。

今は閉鎖された旧比布隧道の入り口にある「ドライブイン路傍」。

新道の開通から15年が経過し,もうなくなっているとばかり思っていたのが,健在であることを先日知ったのが,実は本日の散策の発端だった。

今日はカタクリ見物のお客さんで混んでいるかなと思ったが,店内には誰もいなかった。

しかし,うらぶれた感じはなく,店内では水に差した桜の枝が花を咲かせようとしていた。

快活な女将さんが,「カタクリを見てきたのかい。今日は良かったでしょう」と聞く。

店も「カタクリ群生地の地・ドライブイン路傍」を名乗っている。しかし,カタクリの最盛期でほかにお客さんがいないのは寂しい。もっと早い時間には賑わっていたものと信じたい。

ジンギスカン定食を,お願いして焼いて出してもらった。みそ汁の具はヤチブキ。

朴訥としたご主人が「これヤチブキ。旬のもんだ」と説明してくれる。

静かな厨房の奥から女将さんが「食べたことある? 見たことある? 黄色い花の」と元気が良い。ああ,いいなあと思った。

ドライブインの開業は昭和44年とあった。比布隧道の開通から4年後,マイカーの普及率がまだ2割に満たなかった時代である。それからの盛衰をずっとこのドライブインは見てきたわけだ。

食事をしている間,何か幻想の時空間に滞在している気がした。

食事を終え,せっかくここまで来たのだから目の前の男山も訪ねておく。

カタクリの名所としては男山自然公園のほうがよく知られており,見物客も多かった。

 

出店もにぎやか。見物の客層自体が,突哨山とはまったく異なる感じがした。

4月中旬〜5月中旬のみ開園している男山自然公園。

ヤチブキの花が活けられた東ルートの入り口。

案内の人がこれだけは見ていってくださいと言ってた白いカタクリ。

ペットボトルを手洗いの水に使った素朴なトイレ。

 

流しソーメンの本館は健在。

「北海盆唄発祥の地の碑」は,それと知らなければまったくわからなくなっていた。

男山公園前14:28発→旭川駅前15:10着 道北バス 名寄線普通

男山はマイカーでがんがん乗り付ける人が多くて辟易としたが,少数ながらバスで訪ねる青少年の連れも見かけ,心和んだ。時代は少しずつ変わってきたように思う。

乗り放題の「あさくるパス」を利用して,このあと上野ファーム,あるいは嵐山にでも足を延ばそうかと思っていたが,予定より大幅に時間が過ぎてしまった。今日の旅はあっさりとここで終わりにしたい。

旭川駅前まで乗って500円。朝の三箇線が770円。これに自宅までのバスが220円で,計1,490円。いちおう1,200円の「あさくるパス」の元は取ったことになる。

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