青函旅行記

モンテローザ(一)

竜飛海底駅を訪問する場合,どうしても当日中に釧路に帰ることができないので,今日は1日休暇をもらっている。函館から釧路まで丸一日,どこで時間をつぶしてもいいわけだが,恵山方面にまだ行ったことがないので,バスで行ってみることにする。

函館6:54→恵山登山口8:43 函館バス

函館駅までてくてく歩いて6時40分頃に着いた。駅前のサンクスで朝食の弁当と,今日も飢餓旅行になりそうなのでチョコクロワッサンを買った。

で,バス乗り場を探そうとしたところ「恵山方面」の乗り場が見当たらない。松前・瀬棚・大成・鹿部・南茅部方面はあるのに,恵山・椴法華方面だけすっぽり抜けている。私は大いにあせった。そんなあせっているところへ外人さんが「遠い町へ行きたいんですが,どのバスに乗ればいいですか?」と片言の日本語で聞いてきた。この道楽外人め,そんなこと人に聞くな! と頭に来たので「わっかりましぇーん」と適当にあしらう。しかし平日の昼間からモンテローザに行こうとする私も人のことは言えない道楽者である。


結局,松前・大成・瀬棚方面の乗り場に恵山御崎行きのバスがやって来て,無事乗ることができた。

同じバスにさっきの外人さんも乗った。考えてみると「遠い町」ではなくて「戸井町」じゃなかったのかという気がしたが,外人さんは戸井町に入る前の「黒岩」という変なバス停で降りた。結局「遠い町」だったのか「戸井町」だったのかは不明である。

平日の通学時間帯のバスのため高校生がたくさん乗ってくるのではないかと期待したが,函館→戸井,戸井→恵山でそれぞれ10名程度乗車しただけだった。


恵山の国道分岐にて。バスはこのあと,道南バス恵山出張所で小休止し,椴法華方面のバスと接続をとる。それから国道と別れて海岸沿いの道道に入る。この道道が1車線しかなく,対向車とすれ違うのに難儀していた。


恵山登山口

 

恵山モンテローザ

恵山モンテローザというのはバブル時代のリゾートの跡地である。1988年から開発がはじまり,70億円を投じた時点で計画が頓挫,最後まで営業を続けていた温泉施設も1998年に閉鎖された。巨大な涅槃像は北海道新聞などでも度々紹介され,私としても気になる存在であった。

今年2月下旬に札幌の244氏が訪問され,そのルポルタージュにより現状の詳細が明らかとなった。夏になると各方面の好事家が訪問を試みるようになり,私の両親までもが恵山を通りかかった際,「今見ておかなければ一生後悔する」と思って涅槃像の写真をとってくる始末。施設の一部が売却されどこかに移設されるという話もあり,私としても早急に見学しておく必要を感じていたところである。


バス停から15分ほど坂道を登る。


道路際であっけなく凱旋門を発見。

立派である。


門をくぐるとすぐに涅槃像が見えた。思わず笑みがこぼれる。

涅槃像近影。幅45m高さ11m。

 


私はいちおう仏教幼稚園の出身なのだが,仏教についての知識は乏しく,一つ一つの像が何を意味しているのかわからない。
ただ涅槃(ねはん)像というのは,いたずらに居眠りをしているのではなく,お釈迦様が入滅するときの姿で,生も死をも超越した最も理想的な姿として,古来より全国・世界各地で見られるものである。

ちなみにモンテローザとはスイスの最高峰モンテ・ローザ(Monte Rosa,薔薇の山)に由来しており,仏教用語ではない。入口の門は欧風の意匠だったが,これも仏教と関連付けるのは難しい。


台座の部分にはお釈迦様が誕生してから仏様になるまでの故事来歴を19枚のレリーフで示している。これは保存状態もよく立派なもの。

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