三陸初日の出の旅

山形市内散策

山形県は東北で2番目に好きな県である。なにせ第一印象が抜群に良かった。初めて山形を訪れたのは1998年の8月,花笠まつりを見に行ったときである。まず改札を出るとそこで尺八の演奏に合わせておばあさんが民謡を歌っていたのに感動した。駅の中は花笠まつりのイメージである赤系の色で彩られ,これはわたしの非常に好きな感じだった。そして駅前に出ると,桃色の着物を着たご婦人方が突然円陣を組んだかと思うと,太鼓に合わせて踊り始めた。あんな優美な踊りは見たことがなかった。山形駅周辺では時間が他の土地の半分ぐらいのスピードで流れているような気がした。つまり北海道にはない物が山形にはあった。建物など見た目が異なるということだけではなく,人々の精神構造が北海道と山形ではまったく異なるのである。北海道と内地の違いというのをわたしは山形ではじめて実感した。
わずか30分の滞在だったがいたく感動し,山形に引っ越そうかとまで思った。その後も,県内の鶴岡や米沢を散策したりしたが,あいにく山形市内はじっくり見たことがなかった。今回,東北のどこかで1泊しなければならなかったが,山形市に宿をとるということで迷いはなかった。

今晩の宿は県下ナンバー1といわれる山形グランドホテルである。平社員がグリーン車に乗るようなものだから,若干気が引けるが,仕事と趣味の旅行は別物だ。身分が末席だからといって,旅の宿まで最低のところに泊まっていては人間が小さくなってしまう。
学生時代の末期には苦心してカプセルホテルに泊まったこともあったが,あそこに泊まるとずいぶんみじめな気持ちがするもので,給金取りになってまであんなところに泊まりたくない。

かといって,山形グランドホテルはいき過ぎではないのか?
インターネットでホテルの予約ができる「旅の窓口」なら,札幌のビジネスホテルよりも安い料金で,県内随一のシティホテルに泊まれるというので調子に乗って申し込んでしまったのだ。それも朝食つきで。

こんなホテルに泊まるというので,いつもの貧乏学生風の格好で行くわけにはいかないと思って,上から下まで身に付けるものはデパートで取り揃えた。

ホテルは評判どおり素晴らしい。フロントの対応も抜群だし,部屋も古いながら手入れが行き届き,かゆいところに手が届くように良く考えられている。朝起きたときには,ドアの下からすっと「山形新聞」が差し込まれていた。粋なサービスだ。

朝食は最上階の展望レストランでとる。わたしが経験した中では恐らく2番目に高級なレストランで,こんなところで食べてよいのかと思った。周りに高い建物がないので眺めは素晴らしく,山麓に密集する市街地はぐぐっと胸に迫り来るものがあった。食事は本来1500円の和定食と洋定食から選べた。もちろん和定食を頼んだが,山形名物の漬物を中心にした盛り合わせは気品高く,単なる梅干さえもが芳醇な香りに包まれているような気がした。

安宿に泊まると時間がもったいないので早々に宿を発って活動を開始するが,このようなホテルの場合はホテルに泊まること自体が旅の大きな楽しみとなり得るので,朝はゆっくりし,9時30分頃チェックアウトした。


文翔館。旧山形県庁・県会議事堂。雪が似合っている。年末のため休館。

二の丸東大手門 奥羽本線沿いの堀 最上義光像

霞城公園は山形城の跡。山形城は室町時代に基が築かれ,第11代山形城主最上義光により本格的な城に改築されたさとれる。JR奥羽本線の車窓からも堀と石垣が見えるのでいつか来たいと思っていた。


元の済生館病院本館・山形市郷土館は雪に覆われ,近づくことすらできなかった。


山形駅西口にはいつのまにか霞城セントラルという立派な建物ができていた。24階建ての複合ビルで,高校まで入っているのはすごい。


今晩はアトリウムで年越しのイベントが催されるらしい。


駅の果物屋でラフランスを買って実家に送る。どこかで何か買って送らなければならないと思っていたからこれで一安心。

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