北海観光節旅行記釧路発鹿児島ゆき 列島縦断の旅

城崎温泉

17時38分城崎温泉到着。

 

信じられないことに雨が降っていた。名古屋あたりは雲ひとつない青空だったのに。

今日は結局,奈良井と城崎温泉の2ヶ所を見て終わりである。温泉はどこでも良かったのだが,知っている温泉が城崎温泉ぐらいしかなかったのでここで降りたというだけである。

城崎温泉は松田忠徳さんが『温泉教授の温泉ゼミナール』(光文社新書,2001.12)の中で酷評している。実際どうなのか確かめてみたいということもあった。

昼に中津川で駅弁を食べてから何も食べていないので,とりあえず食堂を探す。温泉街ならラーメン屋の何軒かはあるだろうと思っていた。ところがまったく食堂がないのである。駅から1km歩いた鳩の湯付近にうどん屋があったが,のれんが下がっていたのに鍵がかかっていた。温泉に入る元気がないくらい空腹だったので,最悪駅まで戻ることを考えて引き返すと,来るときには気づかなかったそば屋がかろうじて開いていたので,そこに入った。


「ますや」というこのそば屋,お客はわたし一人だったが,出前も入っており,なかなかおいしいそばだったと思う。手打ちそばで,つゆの色が薄いのが印象的だった。にしんそば+ライスで1050円。

結局城崎温泉は泊まりで来るところであり,夕食は旅館でおいしいものを出してくれるので,食堂は必要ないのだろう。そういう点では北海道の層雲峡温泉のキャニオンモールなどは通過客も気軽に利用できるレストランが何軒かあって良い雰囲気だと思う。

さて,いよいよ温泉巡りである。

 
まず駅から見て一番奥にある鳩の湯。ここは露天風呂があって,もっとも評判が良いようである。

浴槽のお湯はわずかにオーバーフローしているが,うん,いまいちである。お湯はうす塩味で,憩の家かや沼の温泉に似ている。

 
まだ時間があるので続いて御所湯に入ってみる。ここは浴槽の縁より水位が低く循環湯だと思われる。それでも浴槽中央のラッパ型の湧き出し口からはお湯が並々と注がれ,往年の銭湯のようでむなしい。最悪である。

 
こうなりゃもうやけで,時間はないが一の湯に入っておく。城崎温泉では何本かある泉源のお湯をタンクで混合し,各旅館,外湯に配湯している。そして,余ったお湯はまたタンクに戻る。温泉街全体で温泉を循環させているのである。たしかに3つの外湯それぞれお湯をなめてみたが,全部同じ味だ。パンフレットを見ても「ここの温泉は○○に効果があった」などと過去形で書かれているのがむなしい。
そして一の湯では温泉街全体で循環させているお湯をさらに施設内で循環させているのだという。浴槽のお湯を濾過機を通して何度も使う場合,お湯に殺菌剤が混入されることになる。仮に旅館の温泉は水で割ったり循環使用していたりしても,温泉のシンボルである外湯には源泉をそのまま使うべきだと思う。

城崎ほどの著名温泉がこのような状況であるならば,各旅館独自の泉源を持っている北海道の川湯温泉などはもっともっと高く評価されるべきだと思う。

一方で,城崎温泉は浴衣(ゆかた)を着て温泉街をそぞろ歩ける温泉情緒があるという点では全国随一だといわれる。城崎温泉のホームページを見ると城崎温泉では外に出るときには浴衣を着ないとだめなようなことが書いてある。しかしまさか冬に浴衣で外を歩くことはないだろうと思っていたが,写真に見えるように,みんな浴衣で歩いていたので驚いた。

兵庫県城崎町は人口約4500人。温泉街が町の中心街であり,お土産屋街の中に食料品店,薬屋,本屋さんなどが混在している。しかし店はみな古めかしい木造2階建ての建物で,旅館も小規模の物が多く,整った街並みである。中には昔懐かしいスマートボール屋や射撃屋もあった。それでありながら若い人も多いのはさすが一流温泉地である。

年の瀬なのでもっと賑わっているかと思っていたが,人通りが少なくやや寂しかった。

城崎20:02発→浜坂20:56着 普通列車 2両編成2両目 キハ47-16


城崎から非電化区間となる。


浜坂駅前。駅の正面に「歓迎・湯村温泉・浜坂温泉郷」という古めかしい看板があって,この町だいじょうぶかなあと思ってしまう。夜中なので人がいないのは当たり前だが,駅隣のコンビニだけは賑やかだった。


浜坂駅のホームを特急出雲東京行きが通過する。こんなところにも東京行きの列車が走っているんだ。

浜坂21:41発→鳥取22:34着 普通列車 2両編成1両目 キハ47-8

 
キハ47形は北海道のキハ40形と同系列の暖地向け片運転台車であるが,デッキがなく寒々しい感じがした。内装もあまり手入れしていないようで,古さが目立っていた。

本日の御宿はホテルモナーク鳥取。「旅の窓口」で評判が良さそうだったのでここにした。

 

周辺ではおじさんたちが「火の用心カチカチ」と歩いていた。12時過ぎまでやっていたと思うが,あれが毎日のことだったらうるさくないだろうか。

おやすみなさい。

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