今度の新幹線は2階建て車両だった。
2階も良いが,ここはあえて1階に乗ってみる。目の高さにホームの床が来る,こういう眺めも乙なものだ。
いや,やっぱり良くない。駅から出ると擁壁に囲まれて外が全然見えない。やっぱり2階じゃないとだめだ。
わずか9分で北上到着。それにしてもいかめしい顔だ。
北上は展勝地の桜を見に来た。ここは日本さくらの会の「日本のさくらの名所100選」に選定されており,弘前,角館とならんで「みちのく三大桜名所」とされている。
展勝地までは北上川の渡し舟で行く。
船頭さんが「サイシュー便でーす」と触れてまわる。乗船したのは私一人。
このあと戻りの最終便は満員の客を乗せて帰っていった。
私は,ゆっくりと花見をして明日の朝の始発で戻ることにする。
てなわけはなくて,今は立派な橋が架かっているので簡単に戻れるのである。
見事に散っていた。葉桜見物に来る人はやっぱり枯れた感じの人が多い。
みちのく民俗村
展勝地の中にある屋外博物館で,県内各地から文化財級の民家が移築されている。ここもじっくり見てまわると半日か1日はかかりそうで,1時間ではいくらも見ることができなかった。解体してしまうよりは,こうして移築して保存したほうが良いだろうが,生活感のない建物は見てもあまり面白いものではない。
縄文時代の竪穴式住居 |
平安時代の竪穴式住居 |
室町時代の竪穴式住居 |
むしろ興味深かったのは,縄文,平安,室町時代の住居の変遷である。縄文時代の竪穴式住居というのはいたるところで復元されているが,有史時代になると立派な寺社は残っていても,一般農民の建物は歴史の中からまったく消えてしまうのだ。
南部領伊達領境塚。この川が藩境となっており,藩境にはこんもりと土が盛られた塚が築かれている。これは1642年に藩境確定のために東西130kmに渡って数百も築かれた塚の一部で,これほど大規模な国境施設は全国でも他に例を見ないという。
匂いやさしい 白百合の 濡れているよな あの瞳
想い出すのは 想い出すのは 北上河原の 月の夜
作詞:菊地規 作曲:安藤睦夫「北上夜曲」より
展勝地に北上夜曲の歌碑があったという。訪れておけばよかった。