北海観光節旅行記クリスマス三都物語

元町教会群

市電で十字街から末広町へ。

八幡坂。

今夜は教会でキリストの降誕を祝うミサが行われているはずである。ミサは厳かな儀式であるから仏教徒が立ち入るわけにはいかないが,教会が建ち並ぶあたりを歩いて雰囲気だけでも味わってみたい。

函館ハリストス正教会

 

分厚い入り口のとびらの前で耳を澄ますと,美しいキャロルが聞こえてきた。

カトリック元町教会

少し開いていたとびらの隙間から中をのぞいてみると,体育館のような広い聖堂が満員になるほどの信徒が集まり,祈りを捧げていた。

函館聖ヨハネ教会

 

この教会も広々とした聖堂に多くの信徒が集まり,上祭服を着た司祭が何かを話しているようだった。

二十間坂。

五島軒本店

今夜食事をしている人たちはみんな予約客だろう。窓際には貴賓室のような個室があり,大きなテーブルにどこかのご令息とご令嬢であろうか,緊張した面持ちの男女が向かい合って食事をしていた。

再び十字街電停。向かいの乗り場では熱い口づけを交わしているカップルもいた。

函館市営谷地頭温泉

終点谷地頭電停下車。他の乗客と一緒にぞろぞろと歩いて温泉に向かう。クリスマスイブを温泉で過ごす渋いカップルも何組かいた。

温泉から電停に戻るとき,近くを歩いていた子どもが親に懇願していた。

「パパ,サンタさんはどこから入ってくるの? お願いだから教えて。煙突?」

お父さんの答えを聞く前に,その家族連れとははぐれてしまった。

みんな電車の前で記念写真を撮る。

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