北海観光節旅行記ディスカバー阿寒

阿寒湖観光船

阿寒湖というのは観光の仕方がなかなか難しいところである。特に個人で来た場合,駐車場が少し離れていて,しかも有料であることがネックになる。結果として多くの観光客が素通りしていくが,素通りしただけでは湖はまったく見えない。

私自身,釧路に住んでいたとき仕事で何度も阿寒湖に来たにもかかわらず,純粋に観光をしたことは一度もなかった。

阿寒湖に来たら,まず何が何でも観光船に乗るべきだと思う。阿寒湖といえばマリモであり,マリモは観光船に乗らなければ見ることができないからである(ただし湖畔のエコーミュージアムセンターでも少しだけ展示されている。お土産のマリモは偽物)。

本社桟橋

 

大観光地の風格を漂わせる観光船乗り場。昭和61年以来,19年ぶりの乗船である。

 

乗船券を購入。

11時ちょうど発の第7便。船は定員460名のすずらん丸。団体客は入っておらず,がら空きだった。

温泉街東側。写真左手からホテル阿寒湖荘,阿寒ロイヤルホテル,阿寒の森ホテル花ゆう香,レイクスパたかだ,あかん鶴雅別荘鄙の座,ニュー阿寒ホテルシャングリラ。

温泉街西側。写真左手からホテル御前水,ホテルエメラルド,あかん遊久の里鶴雅。

どの温泉旅館も湖に面して客室を設けている。阿寒湖温泉地区は自然公園法による建築物の高さ制限があるため,8階建て〜9階建てが限度である。一方,都市計画法による建ぺい率の定めがないため,敷地境界線ぎりぎりに建物を建てることが可能である。結果として,湖岸に沿ってホテルが1枚の壁のように連なり,温泉街の道路から湖がほとんど見えないという状況になっている。

本社桟橋から約5分で営業所桟橋に立ち寄る。

テープで観光案内を行う遊覧船が多くなる中で,生身のガイドさんが乗っていたのは嬉しい。このガイドさん,両手に指輪やら絆創膏やら,相当修羅場をくぐってきたようである。


船内ではコーヒー,コーラ,ビール,ジュースを販売。

湖に浮かぶ無人島・チュウルイ島。もとは遊覧船がマリモ生息地に直接乗り入れて船底の水中眼鏡で観察できたというが,遊覧船の大型化によって乗り入れができなくなり,昭和36年にチュウルイ島に展示施設が作られた。

 

チュウルイ島到着。森の中を少し歩いてマリモ展示観察センターに向かう。

 

このマリモは夏季の展示期間中のみ湖から引き上げられる本物のマリモ。

マリモとは見ているだけで心を豊かに,幸せな気持ちにさせてくれる。

マリモよマリモ,涙のマリモ……
湖畔の酋長の娘セトナとその下僕マニベが,いつしか恋仲となる。が,身分の違いから2人は結ばれず,月淡き湖水を丸木舟に乗って沖へ――。2人は湖底に身を投じ,その化身がマリモとなる。相思相愛の2人がマリモに祈ると幸せになるという。

……大正時代に新聞記者が創作した伝説である。

約15分間の見学を終えて船に戻る。

昨年までチュウルイ島からの帰途,景勝地・滝口,大島,小島に寄っていたが,今年から経由を取りやめ,所要時間が85分から60分に短縮された。ゆっくり楽しめるのが船旅のメリットなのに,船にまでスピードを求められるとは,まったく慌ただしい時代になったものだ。

途中ですれ違った屋形船。阿寒湖には不似合いだ。

12時ちょうど,本社桟橋到着。

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