北海観光節旅行記北国街道ゆく年くる年

新潟航路

2005年12月29日(木)

札幌8:42発→小樽築港9:22着 函館本線小樽行き普通列車

風雪激しく,ホームの屋根の下も真っ白である。

小樽フェリーターミナル

 

苫小牧に比べるとずいぶん寂しい小樽のフェリーターミナル。

学生の頃,道外に実家のある友人達は,みんな苫小牧ではなく小樽からの航路を利用していた。そのころ小樽からの新潟航路と,苫小牧からの大洗航路では運賃に倍の差があり,お金がない大学生は新潟航路を利用せざるを得なかったのである。

しかしわたしは,丸一日を海の上で過ごすということをもったいなく思い,これまで利用したことがなかった。今回も新潟へ向かうにあたり,本当は寝台特急のトワイライトエクスプレスに乗りたかったのだが,結局安さでフェリーを選ぶことにした。結果的には12月25日に特急いなほ14号が脱線転覆して羽越本線が長期不通になってしまい,フェリーを選んだのは正解だったのである。

小樽10:30発→新潟5:30着 新日本海フェリー

9時45分乗船開始。

 

本日の船は「らいらっく」

船に入ると,本日はシケ模様であり,新潟到着が遅れる見込みであること,危険防止のため浴室を閉鎖する場合があることなどが案内された。

外は風がヒュルヒュルと渦巻き,波声が窓を容赦なく突き破って入ってくる。

10時37分,銅鑼の音が仰々しく鳴り渡り,蛍の光に見送られて出帆。

定員12名の2等船室は22室あり,船の窓側に沿ってずらりと並んでいる。いくつかの部屋が女性専用になっていたほかは自由席で,とりあえず誰もいない部屋の窓側に陣取る。

類は友を呼ぶというのであろうか,そのあとだいたい同じくらいの年格好の青年が3人やってきて部屋の4隅が埋まり,結局それ以上は来なかった。

12時30分,積丹岬通過。巨舶は大波を蹴り,激しく揺れる。

 

レストランにて昼食とする。ライス200円,キムチ250円,鯖味噌煮350円,納豆150円,締めて950円也。市価の倍はしている。

ゲームコーナー カフェ 売店

わたしも昨日まで年末の仕事に追われて疲れ気味で,うるさい旅人にからまれて昼間から焼酎など飲まされることになってはかなわないと心配していたが,思いのほか船内がどんよりとしていたのは助かった。

向かいの青年はいかにも貧乏人という出で立ちで,「支払いが滞っていて先日銀行に振り込んだのだが,まだ引き落とされていない」などと電話で誰かに話している。

となりの青年は北大の書生さんで,大きなトランクから教科書を何冊も取り出し,自分のまわりに店を広げているが,どうも勉強がはかどっているようには見えない。

はす向かいは,白皙の美青年であるが,ひたすら毛布にくるまって寝入っている。このまま新潟まで起きないつもりかと思ったが,たまにむくっと起きあがって,何かを食べている。そのくちゃくちゃという音が気持ち悪く,船酔いよりもそのほうで吐き気がしてくる。

船内では特にイベントもなく,静かに時間が過ぎていく。

2等寝台はカプセルホテル方式の個室。何かしらの事情で個室でなければならない人は別として,一般の2等船室のほうが広々としていて絶対によいと思う。

 

夕食もまたカフェテリア方式のレストランで。ライス大盛り250円,若鶏の甘酢あんかけ550円,ナスの味噌煮300円,塩辛250円,締めて1350円。

苫小牧・仙台航路の豪華絢爛なレストランに比べるとずいぶんと貧相であるが,それでもレストランで食べることができる身分ならばまだよいほうで,カップラーメンやパンで空腹をしのいでいる人達が大勢いた。

18時30分,松前小島を通過。

吹き抜けのロビー。傍らの机では少年少女が参考書を並べて自習に励んでいる。

風呂が22時までだというので早めに入っておく。修学旅行のように少年達で賑やかだったが,揺れのために湯船のお湯が妙に目減りしていた。

22時消灯。

5時35分,本州上陸。おおよそ定刻で到着した。

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