列車は柏崎を経て,海岸線を行く。父方の祖母の家のルーツがどうもこのあたりにあるらしい。北陸のほうだというおぼろげな記憶があったので,旅行に出る前に大叔母に尋ねたところ,北海道に来る前のことは何も聞かされていないとのことだったが,話の中で柏崎,頸城という地名が出てきたことと,佐渡が間近に見えたということからすると,この辺である。
霊峰米山の麓にある米山駅。
断崖が迫るこのあたりは北国街道の難所で「米山三里」と呼ばれた。
連れて行かんせ 米山越えて
あとは他国の ササ風まかせ
エーサ他国の 風まかせ
思い出す気は サラサラないが
今朝もお前の ササ夢を見た
エーサお前の 夢を見た
こがれ泣きかよ 米山三里
またも時雨が ササハラハラと
エーサ時雨が ハラハラと
作詞:高橋掬太郎 作曲:古関裕而 唄:音丸 「米山三里」
不謹慎ながら場所柄「北」を連想してしまう詩だが,旋律は大変美しく,いつも歌っていたくなるいい唄である。音丸さん自身こう語っている。
「『米山三里』を吹き込むことに決まった時,とっても嬉しくて,暇さえあれば口ずさんでいました。夢中で吹き込んで,やれ嬉しやと思いましたところ,その後,米山甚句を歌おうとすると,どうやってみてもふし廻しが米山三里になってしまうのです。これには困りました」
(「SP復刻版による懐かしのメロディ音丸・船頭可愛や 曲目解説」より)
※米山三里は新星堂のサイトで試聴可 昭和11年吹込版,昭和47年吹込版
直江津駅で謙信弁当を購入。
新魚津駅
富山地方鉄道に乗り換えるため,魚津駅で下車。地図で見ると北陸本線の魚津駅と電鉄新魚津駅は隣接しているのだが,時刻表では乗換駅の扱いになっていない。
実際下車してみると,なるほどJRとの連絡通路が撤去されており,ぐるりと地下道をまわらなければ行けないのである。
それにしても時間が止まったかのような駅である。最初は廃駅かと思った。
沿線の駅も一昔前の雰囲気どころか,戦前の風景そのままではないかとさえ思われた。
宇奈月温泉到着。富山県随一の温泉郷である。
宇奈月町温泉会館
銭湯風の公衆浴場。循環濾過している旨掲示があり,消毒臭が漂っていた。その上,湯船の中で何度も手ぬぐいを絞る客がおり,不愉快だった。
お土産屋街。
想影橋から黒部の山を見る。
黒部峡谷鉄道は冬季休業中。
黒部川電気記念館 | セレネ美術館 |
さすがに温泉地だけあって,展示施設は年の瀬にもかかわらず開館していた。セレネ美術館では平山郁夫の絵を初めて見たが,やはり素晴らしいと思った。