北海観光節旅行記それでも僕は東北へ行く

草津温泉

 

本日のお宿はホテルせんぱく。バスの運転手が泊まるような宿で,素泊まり3500円と非常に安かったが,部屋はビジネスホテルのシングルルームよりもむしろきれいなくらいだった。

 

夕食は「とん香」というとんかつの店で。混んでいて一度は断られかけたが,一人だったらカウンターが空いているということで入れてもらえた。いちばん安い串カツ定食1260円を頼む。


草津温泉も今回の旅行で特に訪れてみたかったところである。

北海道では川湯温泉が草津温泉と同じ泉質だと言われている。川湯温泉はすべての旅館が自家源泉を持つという類い希な素質に恵まれながら,いまいち正当な評価がなされていない。ここ1,2年,温泉の偽装が社会問題になる中,本物の温泉の価値が認められないというのは変な話である。これまでわたしもホームページの旅行記などを通じて川湯温泉の魅力を紹介してきたつもりだが,川湯温泉を語るにはまず草津温泉に入っておく必要があると思い,今回訪れることにしたのである。

湯畑

 

草津温泉といえばまず湯畑(ゆばたけ)だろう。温泉街の真ん中で源泉が沸き出しており,湯の華を採取するための樋が何本も設けられている。記念写真を撮る観光客が絶えなかった。

草津温泉はこの時間になると日帰入浴を受け付けている温泉旅館がなくなり,行きずりの旅人が温泉に入ろうと思えば,観光客向けの施設である大滝の湯,西の河原大露天風呂,あるいは地元の人が利用する共同浴場しか選択肢はない。

まずはお土産屋が並ぶ西の河原通りを歩いて,西の河原大露天風呂へ向かう。

ほとんど真っ暗な道を延々と進み,本当にこんな山奥で温泉が営業しているのだろうかと心配になった頃,脱衣小屋にたどり着いた。

西の河原大露天風呂

こんな真っ暗な中でも数名の湯浴み客がいた。露天風呂は本当に湖のように広々としており,適温で気持ちよかった。

大滝の湯

 

今度は湯畑を挟んで反対側にある大滝の湯へ向かう。内風呂,露天風呂ともに充実した日帰り入浴施設で,お湯は素晴らしかった。素晴らしかったけれども,このお湯はわざわざ草津に来なければ味わえないものではないと思った。川湯温泉と全く同じ泉質なのである。

夜9時を過ぎて湯畑に戻ると,湯畑は一段と賑わいを増していた。湯畑のお土産屋も22時まで営業していたので,じっくりと店内を見てまわることができた。

先月萱野高原で買ったのとは別の長寿手ぬぐいがあったので購入した。

こうして草津温泉をまわってみて,川湯温泉は草津温泉に勝らずとも,けっして劣ってはいないと思った。温泉というのは泉質が良ければ良いというものではなく,温泉3割,お土産3割,お食事3割と言われるように,様々な要素で評価されるのである。

温泉の泉質に関しては,草津温泉と川湯温泉はまったく同じで互角である。お食事に関してはこれは川湯の負けといわざるを得ない。お土産に関しては川湯温泉の圧勝である。草津のお土産屋には正直言って魅力を感じる売り物が何もなく,お土産屋自体がスーパーマーケット化していて情緒に欠けていた。その点,川湯温泉は木彫りの本場といわれるだけに木彫りを中心に魅力的なお土産が豊富でしかも安い。

観光地としても,草津の湯畑に相当するのが川湯の源泉公園だが,両者互角の魅力があるし,川湯温泉は何といっても歩いて行けるところに硫黄山があるのがすごい。

川湯温泉も別にめしがまずくてひどいというわけなのではないのだが,人に聞かれたときお勧めできるような店が出てくれば,草津以上の温泉郷になれる素質は十分にあると思った。

次へ