北海観光節旅行記九州吹雪

長者原

筌の口15:01発→九重登山口15:31着 日田バス 九重登山口行き

今度のバスはそれなりに乗客があった。

事件発生。待避所で乗用車が停まっていたので運転手さんが警笛を鳴らした。ところがいくら何でも警笛が長すぎる。そんなに向きにならなくてもと不審に思ったが,どうやら警笛が止まらないようなのである。何があったんだと,旅館から次々に人が出てきた。運転手さんがバスから降りて修理し,ようやく鳴り止んだが,ラッパが氷でねっぱってしまったのだと弱り切った表情でバスに戻ってきた。

 

バスは真っ直ぐ終点には向かわず,湯坪温泉,筋湯温泉と,情緒ある温泉郷を通過していき,こまめに観光客を降ろしていく。

「離合のためしばらく停車します」とアナウンスがあり,戻りのバスとすれ違った。バスでこういう体験は初めてだ。

九重登山口到着。標高約1030m。あたりは完全に雪景色である。

長者原自然探究路

とりあえず木道を歩いてみる。

 

このタデ原湿原は2005年にラムサール条約に登録されている。晴れていれば九重の山々がきれいに見えたはずだ。吹雪で木道の雪が見る見るうちに深くなっていくので,遭難しないうちに退散した。

ドライブインみやま

 

暖を採らせてもらおうと思ってドライブインに入ると,吹雪で店の人も殺気立っており,パンを買うと,投げるように渡された。衝撃を受けて,店の外でバスを待っていると,「あんたもバスに乗るのか。バスが来るまでは店は開けとくから中で待ちなさいと」と言われたので,また中に入って休ませてもらった。

しかし,こういうときに限って,コーヒー1杯だけ飲ませてほしいという客が来たりして,店の人はまた怒りながらコーヒーを入れていた。やはり落ち着かないので,早々に店を退散した。

吹雪はますます激しさを増し,ときおり視界がゼロになる。

しかしいくら待てどもバスは来ない。定刻を15分過ぎても来ないので,バス会社に携帯電話を入れると,遅れているだけで動いてはいると思われるので待っていてほしいとのこと。

先ほどのバスからは筋湯温泉から乗ってきた3人のグループも一緒に降りた。そのうち2人はどこかの宿の車で去っていった。残った1人の青年とわたしでバスを待つことになった。

登山家のような格好に見えるが,冬山登山にしては妙に軽装である。彼もやはりこんな吹雪になるとは思わなかったと弱っていた。彼は今夜熊本に泊まり,明日はレンタカーで佐賀を回るのだという。駅レンタカーはスタッドレスタイヤがあるそうだ。わたしも明日はレンタカーを予約していたが,トヨタレンタカーにはスタッドレスタイヤがなく借り上げチェーンでの対応になるという。チェーンでは雪道走りたくない。明日のレンタカーは厳しくなってきた。

50分ほど待ってもまだバスは来なかった。冬の九州は寒いと知っていたので,北海道を旅行するとき以上に防寒対策はしてきており,このくらいの吹雪は何のことないが,ここにずっと取り残されることになるとさすがに困る。

青年が強気の関西弁で再度バス会社に電話したところ,確認して折り返し電話をもらえることになった。

16時55分,あと15分でバスが来るとの連絡があった。

くじゅう登山口16:02発→内牧角萬前17:25着 九州横断定期観光バス くじゅう4号

定刻より65分遅れで到着。湿った吹雪で,全身雪だるま状態でバスに乗り込んだ。

このバスは別府,湯布院,黒川温泉,阿蘇山,熊本を結ぶ定期観光バスで,乗車券は全国のコンビニで購入することができる。

最高所の牧ノ戸峠,標高1320mを通過。下りのつづら折れに差し掛かると,バスはツーっとスリップし「失礼しました」とアナウンスが入った。それからバスはさらにのろのろ運転となり,歩くようなスピードで坂を下りていった。

県道11号やまなみハイウェイと国道442号の交差点にある三愛レストハウスでトイレ休憩。

73分遅れで黒川温泉着。予定ではここで途中下車して,入浴後,後続のくじゅう6号に乗る予定だったが,くじゅう6号がいつ来るという保証もないのでこのまま先に向かうことにした。

黒川温泉は車窓から見る限り,華やかな大型ホテルなどなく,ほとんど真っ暗だった。それが黒川温泉の魅力なのだろう。

地図は前のお客さんもわたしも「ツーリングマップル」。九州に来てからこの地図を持った旅行者を多く見かけた。北海道版のツーリングマップルと違って,九州版はもともとが10万分の1の地図を縮小して使用しているので,地名も詳しく載っていて鉄道・バスの旅にも重宝する。

18時34分,大観峰からの下りで原因不明の渋滞に遭遇。まったく動かないまま,1時間あまり待つ。ホテルへ到着遅れの電話を入れる。内牧温泉には結局117分遅れで到着。このあと阿蘇市内の県道が全線通行止めになったというから,無事たどり着けただけでも幸運に思わなければならない。

内牧温泉

本日のお宿は内牧温泉のホテル五岳。素泊まり4650円と安いが,温泉はよいとの評判だった。

温泉は評判通り,ぬるめのかけ流しで,茶色の湯で気持ちが良かった。

 

温泉街。華やかさはあるが誰も歩いていない。

 

唯一空いていたラーメン屋。白龍という横綱の名前を足して割ったような名前で,恐る恐る引き戸を開けてみたが,店主は意外と人が良さそうで,お客さんも多かった。中国人風の観光客もおり,ぎょうざを喜んで食べていたのが微笑ましかった。みそラーメン600円+めし(中)150円。

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