さて,今晩泊まる十津川温泉の到着時間から追っていくと,京都で1時間ちょっとの余裕ができる。まだ先は長いので,ここで体をきれいにしておくことにする。
京都タワーは今月から改修のため展望台が休業に入っているが,浴場は通常営業していた。
時代を50年くらいさかのぼったようなエスカレーターで地下1階に降りる。
タワー浴場へはさらに階段で地下3階まで下りる。
サロン風の待合室を持つタワー浴場は健在だった。ここに来るのは2006年の元旦以来,約7年ぶりである。あのとき,初日の出を見た後の湯あみ客たちの幸せそうな顔が忘れられない。今日もまたさわやかに入浴することができた。
駅は帰省客でごった返しているというのに,タワー1階のお土産屋は閑散としていた。何か買おうにも,まだ旅は始まったばかりなので,申し訳ないがここは素通りで失礼する。
これから先は,五条駅15時07分のバスに間に合うよう,インターネットの乗り換え案内で表示されたとおりのルートで行く。
京都から奈良に向かって20分も進むと,のどかな田園風景となった。千年以上の歴史のある都の間にこういう鄙の部分が残されているのはすごいことだと思った。
特急は全席指定で半分ほどの座席が埋まっていたが,大和八木駅で全員が降りたので驚いた。
橿原神宮前駅は乗り換えとなる吉野線のホームが別の駅のように離れており,妙な構造だった。
この列車は特急だと思っていなかったのだが,実は特急だった。近鉄の特急は全席指定である。しかし,ホームには特急券の販売機が見当たらない。
改札に走り,特急券はどこで買えばよいのかと尋ねると,吉野口でJR線に乗り換えるのかと聞かれ,乗り換えるなら後続の普通列車で行っても同じだと言われた。
しかし,このあとのバスの長旅に備えて食料の調達もしたかったので,「吉野口で時間をとりたいので」と申し出て,特急券を出してもらった。それにしても,特急が全席指定というのは敷居が高いように思うが,地元の人たちは不便を感じていないのだろうか。
吉野口駅到着。近鉄の列車なのに,降りた駅がまるでJRの駅だったので驚いた。
ここで18分の待ち合わせ。吉野口というからには,それなりに店などもあるだろうと思っていたら,駅前には何もなかった。こんなことなら,橿原神宮前で列車を1本送らせて,ゆっくり買い物をすればよかった。
窓口では,いまでは珍しい青春18きっぷの赤券を売っているようだった。「1冊11,500円」という表現も,時代がかっている(冊として販売されていたのは1995年までのこと)。
今度の列車は,JRなのにJRという感じのしない車両だった。
小さな駅で駅前に店もなかったが,待合室に柿の葉すしの売店があった。あまりおいしくなさそうだったが,ここで買っておかないと飢餓旅行になるので観念してパックを会計に差し出すと,それは見本の作り物だと言って,奥から本物の寿司を出してくれた。