北海観光節旅行記熊野古道と北リアス線

伏拝王子

まったくのどかだ。この狭い田畑で農業だけで食べていけるとは思えないが,自分たちが食べるものは相当まかなえるのではないか。熊野古道千有余年の歴史とともに,こうした里の暮らしも続いているのだと思うと感慨深い。

 

道端の奇妙な人形も心を和ませてくれた。

ガイドマップにはお土産の販売所があったので楽しみにしていたのだが,どこもこのような無人販売所だった。

 

水呑王子。熊野古道の主に中辺路,紀伊路に見られる九十九王子の1つである。上皇や女院の参詣が活発だった院政期の12世紀が王子の全盛期で,江戸時代には既に荒廃していたという。水呑王子の小さな石碑も享保8年(1723)に,史跡として建てられたもの。

 

それぞれの王子には記念スタンプが置かれていた。

水呑王子のすぐそばにあった建物は,あとからインターネットで調べて分校の跡だとわかったが,案内板などはなかった。熊野古道千有余年の歴史から見れば,100年程度の歴史しかない学校などとるに足らないものだろうか。それとも,あと100年くらいたって跡形もなくなったころに,学校跡の碑が建てられるだろうか。

学校の向かいにあった,この屋根付きの施設はなんだろう。

しばし土の道に入る。このような車の通れない道を熊野古道では「地道」と呼んでいる。

熊野古道の本通りにしては,ひどく安っぽい石段。たぶん,昨日世界遺産センターで見た道普請によって直された箇所だろう。

北側に和歌山・奈良県境の果無山脈を望む。右手の尖った山は三里富士とも呼ばれる。

発心門王子から約1時間で伏拝(ふしおがみ)王子に到着。

伏拝とは,ここで初めて本宮を見ることができるため,熊野権現を伏し拝むことから名付けられたという。

 

発心門王子から本宮大社に向かって歩くのが熊野古道の王道であるが,より短い距離で済ませたい向きには,伏拝王子から本宮大社までの古道歩きも各旅館で体験プランを設定しており,ここまで車で送ってもらって来ていた人がたくさんいた。ここから本宮大社までは約3.3kmである。

さてバスの時間が近づいてきた。今日は予定を決めない気ままな旅だと行っても,次の便を逃すと3時間バスがない。

ところがバス停の位置がよくわからなかった。熊野古道に沿って「べんりバス」というのが運行されているようだったが,今日は12月31日なのでさすがに運休である。

先ほど発心門王子行きのバスは「伏拝口」という停留所を通ったが,だいたい○○口というバス停は,その○○という場所から相当に離れているものである。伏拝茶屋に張ってあった,手書きのわかりにくい地図を何とか読み解くと,どうも伏拝口まで行ったのではバスに間に合わないように思われた。

それで,結局昨日も通った三軒茶屋跡経由で平岩口バス停まで走ることにした。

足は昨日のダメージから回復せず痛いが,ともかく走る。

なだらかな下り坂だったことも幸いし,三軒茶屋跡までの1.2kmを7分で走ってきた。ともあれこれで,昨日の行程と合わせて,発心門王子〜熊野本宮大社を歩き通したことになった。

平岩口9:49発→野中の一方杉10:40着 龍神バス 紀南病院行き

さらに500mほど走って国道のバス停へ。何とか間に合った。

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