子どものころから馴染みがあるせいかもしれないが,旭川駅の駅弁は駅弁の中でも本流を行くものだと思う。旭川周辺は上川百万石といわれる米の産地だけあって,この駅の駅弁は基本的にご飯がおいしい。米という弁当の基本がしっかりしているので,どの弁当も平均しておいしいのである。内陸の町だが,弁当は海の幸を売りにしたものが多い。これも旭川の特徴で,旭川で山菜おこわなんていうのはかえってイメージに合わない気がする。
駅弁は駅待合室に隣接したブースでも売っているが,ホーム売りがメイン。札幌行きの特急列車の発車に合わせて,1番ホームと2番ホームをワゴンが行き来している。旭川駅の朝はマイナス30度近くに冷え込むこともあり,そんな中でも外で立売するわけだから,過酷な商売だ。
売り子さんは何人かいるが,その中で独特の売り声を持つおじさんがいる。哀愁というか悲壮感というかそういうものが感じられる。高校時代の3年間,毎朝この声を聞きながら学校に通ったが,今も耳を離れない。
最近は旭川駅立売株式会社のほかにも弁当屋が参入しているようである。
立売風景(MP3,108KB,27秒,2002.1.24録音)
旭岳べんとう,890円,2002.2.9購入 ★★★★★私は北海道の駅弁の中でこの弁当がいちばん好きである。一見普通の幕の内弁当に見えるが,おかずの一点一点に対するこだわりも感じられるし,弁当箱の作りも模範的である。特に煮物には味がしっかりとしみ込んでおり,このあたりはコンビニ弁当などまったく及びもつかないところである。旭川駅立売(株)の主力駅弁であり,特急オホーツクの車内でも販売している。 |
|
蝦夷わっぱミックス,1000円,2002.4.29購入 ★★★★旭岳べんとうと並ぶ旭川駅立売(株)の主力商品で,このほか蝦夷わっぱイクラ,蝦夷わっぱカニ,蝦夷わっぱウニ,吟選蝦夷わっぱがあるらしい。立派なプラスチック製の容器に入っていて量は十分。下のご飯が見えないほどおかずが厚く盛り付けられており,おいしい。 |
|
↑2003.6.20購入 ↑1997.3.27購入 |
|
どんぶり子,1100円,2003.6.20購入 ★★★★うに丼といくら丼の2つの小鉢がセットになった豪華な弁当。しょうゆ味のご飯が味をさらに濃厚なものにしている。北海道でも駅弁でうに丼は珍しい。見た感じ量が少なめに見えるが,2鉢食べればしっかり1人前ある。容器は柔らかいプラスチックで,中身の割りに貧素だが,捨てるのが惜しくなくて良い。 |
|
海鮮てんこめし,1470円,2003.6.15購入 ★★★豪華弁当。ドン,ドン,ドンと入った太いズワイガニの肉が目を引く。ニシンも珍しい。ご飯は酢が入っている。容器が立派すぎるのが難点。持ち帰って何かの入れ物にでもするしかない。値段がちょっと高いので★3つとした。 |
|
だいせつ寿し,880円,2002.6.16購入 ★★★★旭川駅の駅弁は非常に多くの種類があるが,お盆など最繁忙期以外は扱っている種類が少ないのが難点。この弁当は比較的ワゴンに並んでいることが多い。彩り鮮やかな押し寿しである。「大雪」と「寿し」はミスマッチのように思われるかもしれないが,旭川は交通の要衝にあるため,内陸の町にしては海の幸に恵まれている。 |
|
海鮮いか壷,1050円,2002.8.18購入 ★★★★重たい立派な壷の中に,ご飯といかが2段重ねで入っている。いかめしの他にさらにご飯がついているのだから,量は十分。いかには2つともご飯が入っているものと思っていたら,片方にはゆで卵が入っていてびっくり。 |
|
蝦夷鴨めし,920円,2003.3.22購入 ★★★★駅弁で鴨めしというのは珍しいだろう。小さな鴨肉が二切れだけというのも希少価値を高めている。しょうゆご飯で,駅弁にしてはあっさりした食後感だ。 |
|
助六寿し,500円,2002.6.16購入 ★★★500円というのは助六寿しにしては高めだが,その分太巻きの具が多い。 |
|
おにぎり(梅・鮭),380円,2002.9.7購入 ★★★★★おにぎりというのは弁当の根源的なスタイルであって,奥の深いものと思うが,この旭川駅で売られている「おにぎり」ほど粋を尽くしたおにぎりというのも他にないだろう。旭川駅の駅弁は基本的にご飯がおいしいから,当然おにぎりもおいしい。ふわふわしているのにノリがなくてもご飯が崩れないという巧妙な握り方。漬物もありがちなたくあんではないのが粋だ。箸はついていないが駅弁特有の簡易ナプキンが添えられているので,手をきれいにして手づかみで食べられる。 |
|
その他の駅弁吟撰蝦夷わっぱ,1330円(予約)けっから飯,1000円 北海おこわ,690円 ぐるっと北の味,1260円 ダブル親子飯,1300円 蝦夷ちらし,1350円(予約) |