[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

函館本線 その1

[函館→森]


道内時刻表,弘済出版社,1975.7

函館本線[函館→森]の概要

青函トンネルの開通によって,函館は北海道第一歩の地ではなくなりましたが,やはり北海道の旅は函館から始まります。函館周辺の観光地は,歴史があることと,四季を通して楽しめることが特徴。せっかく列車で北海道を訪れるなら,函館を素通りせずに,列車を降りて散策してみましょう。


●歴史

函館本線は北海道を代表する幹線であるが,もともと函館から北を目指す線路として建設されたわけではない。明治13年以降北海道の最重要路線として建設が進められた小樽以遠に対し,函館−小樽間は海路が利用できることから,鉄道建設は後回しにされた。
この区間は民営の北海道鉄道会社によって建設され,明治35年12月の部分開業以来順次各区間が開業し,同37年10月に函館−小樽(当時高島)間が全通。さらに同38年8月に小樽−南小樽間が開業し,北海道炭鉱鉄道に接続して函館−旭川間が全通した。明治40年7月国有化。青函連絡線は明治41年3月7日に就航。明治43年12月には函館港に木造の桟橋が竣工し,以降,青函連絡船〜函館本線は本州と北海道を結ぶ大動脈の地位を得ていく。
戦時中には輸送力の増強を図るため,五稜郭−長万部間の複線化が計画され,昭和20年に渡島海岸鉄道の森−砂原間を買収。大沼まで線路を延長させて,同年6月に大沼−森間の通称砂原線が開通した。
函館駅からは道内各方面へ向かう優等列車が出発したが,その最初のものは明治44年,函館−釧路間の3,4列車で,函館−旭川間が急行で運転された。昭和36年10月,北海道初の特急列車として「おおぞら」が函館−旭川間で運行開始。
北海道の列車ダイヤは長く函館を起点に設定されてきたが,昭和55年10月に千歳空港駅が開業したのを機に,札幌中心のダイヤに改められた。さらに昭和63年3月13日,青函トンネルを通る津軽海峡線が開通し,函館駅は出発駅・終着駅から単なる中間駅へと化した。
1993年3月,キハ281系スーパー北斗運転開始。最高速度130km/h,所要2時間59分で函館と札幌を結んだ。

●車窓

函館は北海道の玄関口らしく,倉庫や工場が並ぶ。大中山から七飯にかけては国道5号の赤松並木が見える。山深い峠を越えると大沼公園で,車窓から望む大沼湖,小沼湖,駒ヶ岳は絶景。森までの間,駒ヶ岳はどこまでも車窓についてくる。駒ヶ岳経由の線路は,山腹の樹海を縫う曲線の線路が見事で,砂原線では典型的な漁村の風景が見られる。

●運行系統

函館−森間は大きく見ると非電化複線といって良いが,七飯−大沼間,大沼−森間は上下線がそれぞれ単線でまったく別の経路を走る。
七飯−大沼間は明治36年敷設の上り線と,昭和41年建設の下り線(通称藤城線)がある。特急列車,貨物列車は原則どおり上下線を使い分けているが,渡島大野,仁山の両駅は上り線しか通過しないことから,普通列車は上り線にも下り列車が入る。
大沼−森間も明治36年建設の下り線と,昭和20年建設の上り線(通称砂原線)からなっている。特急列車は上下とも距離の短い下り線を走り,貨物列車は原則どおり上下線を使い分けている。普通列車は両線ともに上下列車が入る。
なお,大沼−森間の線路はさまざまな呼び方があって紛らわしい。

時刻表 大沼公園回り 東森回り
地形図 大沼回り 砂原回り
JR コマ経 オラ経
  下り線 上り線
  本線 砂原線

●特急・急行・快速列車

札幌−函館間に特急スーパー北斗・北斗が11往復運行。途中停車駅は大沼公園,森だが一部通過する列車もある。青森−札幌間の急行はまなすも函館に停車するが,深夜なので利用しずらい。本州直通の寝台特急もトワイライトエクスプレスを除いて函館に停車する。北斗星1号は函館−札幌間で立席利用可能。

●普通列車

函館本線の中では普通列車の本数は多いほう。特に,函館−七飯間は充実している。渡島大野,仁山は普通列車でも下り列車は一部通過するので注意。大沼−森間は本数が二分されるが,どちらかというと沿線人口の多い砂原線の本数が多い。長万部へ直通する列車も多い。
また,1999年夏からマウント・レイク大沼号が函館から駒ヶ岳を一周して函館に戻る経路で運転されており,この区間乗り放題の「マウント・レイク大沼フリーきっぷ」が発売されている。

 

●利用状況

●特急・急行・快速列車

特急スーパー北斗・北斗は東室蘭・苫小牧−札幌間の利用が多く,函館−東室蘭間は比較的空いている。自由席でもたいてい座れるが,休日などは突発的に混むことがあり,長時間立たされることにもなりかねない。急行はまなすは深夜帯の停車にもかかわらず,函館駅での乗降客がかなりある。ミッドナイトは北海道随一の指定席の取りにくい列車として知られる。指定券は1ヶ月前から発売なので,予定が決まったらなるべく早く申し込もう。自由席も連結されるが,夏休みには早めに並ぶ必要がある。

●普通列車

函館の通学圏は森までで,高校生がこの区間の主な利用者。通学列車を除けば概して空いており,席の確保は容易。ただ,旅行シーズンには函館−長万部を直通する列車,中でも長万部から東室蘭,小樽方面への接続が良い列車は混みあう傾向がある。函館から札幌まで,特急列車の3倍もの時間をかけて移動をする人たちは,意外に多い。

●車両

●特急・急行・快速列車

特急スーパー北斗はキハ281系またはキハ283系振り子車両。283系の方がパワフルだが,281系のほうが乗り心地が良いように思う。北斗は183系でスピードは283系に劣るが,183系の中でも高速運転可能なN183編成(最高120km/h),NN183編成(最高130km/h)が充当されている。その安定感ある走りにはファンも多い。
急行はまなすは14系客車・寝台車で,指定席にはリクライニング角度の大きいドリームカーや横になれるカーペットカーが連結される。
快速ミッドナイトは長らくキハ27形の専用車両で運行されてきたが,2000年12月からキハ183系に置き換えられている。マウント・レイク大沼号はキハ82系特急車両を改造したキハ82・84形で貴重な存在。

●普通列車

全列車キハ40形700番台。一部は混雑対策のため片側1列の3列シートに改造されている。また826番〜841番は初期車と呼ばれ,内装や座席の配置が異なる。うち函館運転所には831・835〜841が在籍している。編成は函館の始発が5両編成となるほか,1〜3両編成で運行される。函館から乗った場合,七飯や大沼で後ろの車両が切り離しになることがあるので注意。

それでは,函館本線その1各駅停車の旅をお楽しみください

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