[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

函館本線 その5

[岩見沢→旭川]


「全国レクリエーション鉄道地図」交通協同出版,1960

 

函館本線[岩見沢→旭川]の概要

かつて産炭地への支線をいくつも分岐し,道東,道北の開拓の拠点だった旭川へ向かう函館本線最後の区間です。頻繁に行き交う特急列車の合い間を縫って走る普通列車に乗れば大変のどかな風景に出会えます。特急も停まらないような小駅に降りてみれば,意外と近いところに非日常的世界が広がっていることに気づくでしょう。


●歴史

明治19年北海道庁が設置されると,それまでの官営事業による開拓移民の直接保護政策から民間を援助する間接保護政策に転換した。北海道炭鉱鉄道株式会社(北炭)は明治22年11月に設立され,幌内鉄道の払下げを受けた。北炭はさらに歌志内炭鉱,夕張炭鉱の開発にも乗り出し,現在の函館本線の岩見沢−砂川間は北炭の空知炭山支線の一部として明治24年7月に開業した。空知川の手前の空知太までも翌年2月に開通したが,その先は炭鉱がなかったことと空知川,石狩川の架橋,神居古潭の難所があったことで建設が遅れた。しかし明治29年北海道鉄道敷設法の公布によって,開拓と軍事力増強のため道東,道北への鉄道建設に力が入れられるようになり,旭川までの線路は官設の上川線として同31年7月に開業した。鉄道敷設によって明治33年から35年にかけて旭川に第7師団が移転した。
旭川から先はまず明治40年に現在の富良野線経由で釧路を結ぶ釧路線が開業,同44年には現在のふるさと銀河線経由で北見にも行けるようになった。しかし大正2年になると滝川−富良野間の下富良野線(現・根室本線)が開通し,滝川−旭川間は一時期支線のようになったが,大正11年には稚内まで,昭和7年には現在の石北本線が開業した。
大正15年に砂川まで,昭和31年滝川まで複線化。同44年9月には旭川までの複線電化が完成した。昭和36年10月,北海道初の特急列車として「おおぞら」が函館−旭川間で運行開始。同50年,札幌−旭川間に485系電車特急「いしかり」新設,同55年に781系「ライラック」新設。
かつて石炭を搬出した支線の南美唄線は昭和48年9月,歌志内線は同63年4月,上砂川線は1994年5月に廃止,道路未整備のため遅くまで残った深名線も1995年9月に廃止された。
1990年9月1日,785系特急「スーパーホワイトアロー」が道内初の130km/h運転を開始。1998年2月,小樽-旭川間にPRC(自動進路制御装置)導入,ホームの番線が一斉に付け替えられた。

●車窓

岩見沢からしばらくは石狩平野の東端を走り,車窓には田園風景が続く。光珠内を過ぎると国道12号が右から左へ移り,滝川までこの日本一長い直線国道に沿う。整然とした水田やときおり過ぎていく農道の踏み切りは実にのどかな風景である。左にはピンネシリなど樺戸の山々が連なり素晴らしい。空知川を渡って滝川に達すると北海道二大幹線の根室本線を東へ分け,やや細道となった感じの函館本線はさらに水田の中を北へ向かう。石狩川を渡って妹背牛,深川,納内と農村の市街地を過ぎ,神居古潭の断崖を3本のトンネルで通過する。伊納駅を通過してさらにトンネルを2つくぐり抜けるとついに旭川で,風格ある街並みを見渡しつつ石狩川を渡り,忠別川のほとりの旭川駅に到着する。
車窓は旭川に向かって左側が良い。

●運行系統

●普通列車
岩見沢から先は普通列車の本数が少なくなる。また2000年3月改正で岩見沢で普通列車の運用を分割することとなり,多くの場合岩見沢で乗り換えをしいられる。しかし札幌方面から滝川・旭川に直通する列車もわずかに残っている。
運行区間としては岩見沢−旭川,岩見沢−滝川,滝川−旭川の列車が多く,江部乙,深川,近文を発着駅とする列車もわずかにある。他線に直通する列車としては旭川発増毛行普通列車が1日1本あるのみ。

●特急列車
岩見沢止まりの特急はなく,すべて旭川以遠まで直通する。札幌−旭川間に特急「ライラック」「スーパーホワイトアロー」がそれぞれ1時間おきに設定されているほか,稚内,網走行の特急も走る。途中停車駅は美唄,砂川,滝川,深川。ただしオホーツクの一部,スーパー宗谷,サロベツは美唄,砂川に停車しない。また,スーパーホワイトアローは朝と夜の便を除いて札幌−新千歳空港間を快速エアポートとして直通運転する。夏と冬には富良野行の臨時特急も設定され,滝川から根室本線に入る。

●利用状況

●普通列車
利用者は概して少なく,電車の場合少なくとも3両編成となるので容易に1人1ボックスを確保できることが多い。気動車の場合1〜2両編成となるがそれでもたいていは座れる。通学利用は美唄→岩見沢,砂川→滝川,深川→滝川,深川→旭川などが多い。

●特急列車
札幌駅と旭川駅相互間の利用者が圧倒的に多く,途中駅から乗り込むと席を探すのに苦労することも多い。途中駅から旭川方面への利用者はほとんどなく,旭川に近づくほど車内は空いてくる。旭川から札幌に向かう列車の場合,後ろの車両のほうが空いている傾向がある。この区間の特急列車は自由席主体で,指定席を取る人は少ない。深夜の旭川行き,早朝の札幌行きは特急利尻,オホーツクが補完しており,稚内,網走方面の客に混じって短区間利用者も多い。札幌行き利尻,オホーツク10号の場合,車内では寝ている乗客がいるので静かにしよう。

●車両

●普通列車
電車は711系が主体で,滝川までは721系も入る。3両編成がほとんどだが,滝川までは6連も見られる。気動車は旭川から留萌本線に直通する列車がキハ54形単行であるほかはキハ40形700番台の単行〜2連である。電車,気動車の別は時刻表の列車番号欄を見ればわかる。Mが電車でDが気動車を表している。

●特急列車
ライラックが781系,スーパーホワイトアローが785系。札幌−旭川間の所要時間では785系のほうが10分短い。ライラックは4連または6連,スーパーホワイトアローは5連。指定席は編成中1両のみ(ライラックは1両のさらに一部)だが,グレードの高いuシート車が使用されている。

 

それでは,函館本線その5各駅停車の旅をお楽しみください

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