北海観光節

小幌駅探訪記

2002.4.27訪問

室蘭本線の小幌駅は一般的にはあまり知られていない駅だが,なぜか当サイトの「北海道の駅人気投票」では1位にランクされている(2002.5.1現在)。駅は前後をトンネルに挟まれ,地上に出ている部分はわずか100m。列車以外で訪れることは不可能であり,その秘境めいた雰囲気が人気をよんでいるようだ。

今回は遅ればせながら初めての小幌駅訪問である。小幌駅で降りるからには,ぜひ岩屋観音を訪れたい。そう思って,草木の茂らないこの時期を選んだ。

9時3分,長万部発東室蘭行き普通列車に乗車,9時23分小幌駅下車。下車したのは私1人。入れ替わりで1人乗車した。恐らく同類の人だろう 反対側もトンネル。
駅前には誰が作ったのか,展望休憩スペースがあった。 海が見える。気持ちいい。


山側には国道が見えた。

さっそく岩屋観音に向かう。小道は最近補修したような形跡があった。険しい箇所にはロープが張ってあり,意外と楽に進めた。

 

途中で山菜取りのおじさんに会った。恐る恐る「こんちわ−」と挨拶すると,「おーっす,10時のやつで来たんか〜い」と返してくれた。
 

自然が素晴らしい。小幌にも昔は番屋があったそうなので,薪炭用にいくらか伐採は入っているだろうが,容易に人が入り込めないところだけに,原始の森の姿を残している。クマ,ハチ,ヘビなどの恐れは感じなかったが,夏はどうなるだろうか。


10分ほど歩くと,入り江が見下ろせた。小幌駅の標高が約50mなので,海まではかなり下らなければならない。


これが小幌洞窟。松浦武四郎や菅江真澄といった有名人も訪れている古くからの名所である。

洞窟内に岩屋観音が安置されている。


円空仏。素朴な木彫りの像に感銘を受ける。


地元の漁師さんが船で立ち寄って花を供えているようだ。


「巌屋観音庫裡」という秘境らしからぬ建物も。


あまり見せたくないが,仮設トイレもあった。礼文華岩屋秘境まつりの際に使用されるのだろう。


いったん駅に戻って,今度はまっすぐ海に下りる。急斜面にジグザグに踏み分け道がついており,駆け足で下りる。


こちらの海岸も景色は抜群。天然の海岸線で,深く積み重なった丸い石の上を歩くのが気持ちいい。

 
ここでも山菜取りのおじさん2人に会った。これからの季節は釣り人でも賑わう。

 
駅に戻る。50mの高低差を2回上り下りしたので少し汗をかいた。展望休憩スペースで海を見ながら飲んだスポーツ飲料がおいしかった。


11時25分発,長万部行き普通列車に乗車。入れ替わりで1人下車した。やっぱり同類の人だろう。

●岩屋観音へ行かれる方へ

 重装備は必要ありませんが,勾配の急な箇所があるので,荷物はリュックに入れて両手は空けておいたほうがいいでしょう。道はそれほど険しくありませんが,一歩間違えれば崖の下へまっ逆さまという箇所もあります。入林届のようなものもありませんので,もしものことがあって人に迷惑をかけることがないよう,慎重な行動を心がけましょう。

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