[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

室蘭本線 その2

[室蘭→苫小牧]

室蘭本線[室蘭→苫小牧]の概要


●歴史

この区間は長万部−東室蘭間とはまったく異なる歴史を持つ。室蘭港は天然の良好であり,開拓使顧問ケプロンは室蘭が天然の良好であることを高く評価し,まず明治6年に函館から室蘭経由で札幌を結ぶ「札幌本道」が開削された。札幌本道は日本最初の本格的な洋式馬車道で,森−室蘭間は海路だった。その後,幌内炭山の石炭を積み出す港として室蘭と小樽が競い合い,結局距離の短い小樽港が選ばれ,明治15年には小樽−幌内間が全通。室蘭に鉄道が延びるのはその10年後の明治25年で,北海道炭鉱鉄道株式会社経営の路線として室蘭(現東室蘭)−岩見沢間が開通した。同30年には東室蘭−室蘭間も開通,同39年に国有化された。以降,線路を通して運ばれてくる石炭や森林資源を背景に,明治40年に日本製鋼所(現日本製鋼室蘭製作所),同42年に輪西製鉄所(現新日本製鉄室蘭製鉄所),同43年には苫小牧で王子製紙が操業を開始した。
函館本線の開通により,函館−札幌間の輸送は倶知安経由にシフトするが,石狩炭田の石炭の積み出しでは室蘭港が大きな地位を占め続けた。石炭産業の斜陽化が始まると昭和36年10月に函館−旭川間の特急おおぞらが東室蘭・苫小牧経由で運転を開始し,旅客輸送の幹線へと転換した。昭和55年10月には室蘭−沼ノ端間が電化,室蘭−札幌−旭川間に電車特急ライラックが運転を開始した。

●車窓

白老−沼ノ端間27.8kmの日本一長い直線区間を含むだけあって,単調といえば単調である。室蘭駅を出ると急峻な絵鞆半島の北側を走り,埋立地に広がる巨大な製鉄工場と赤錆びた町並みを見ながら東室蘭に至る。東室蘭からは長万部からの線路も合流して,特急や貨物列車が行き交う賑やかな線路となる。ほとんどの区間で国道36号に沿っており,その向こうに太平洋を望むという景色が続く。沿線は農耕不適地で,茫漠とした原野に工場や住宅地が点在する。その中でもビューポイントといえば,虎杖浜−竹浦のドライブイン街,社台前後の牧場,そして社台から苫小牧にかけての樽前山だろう。座る位置は右でも左でもそれほど変わらない。

●運行系統

室蘭から札幌へ特急すずらんを一日5往復運行。室蘭−東室蘭間は普通列車扱い。その他,室蘭−東室蘭間の普通列車は多く,東室蘭で特急北斗・スーパー北斗との接続がとられている。東室蘭・苫小牧には本州直通の寝台列車を含むすべての特急が停車,登別にもほとんどの特急が停車する。特急すずらんはこのほか鷲別,幌別,白老に停車。
普通列車は東室蘭−苫小牧間に12往復のほか,室蘭・東室蘭−登別間と糸井−苫小牧間の区間列車が設定されている。なお1日1往復ながら長万部−苫小牧間と東室蘭−札幌(手稲)間に運行されている列車は貴重な存在。

●利用状況

室蘭の中心街は東室蘭に移っているため,室蘭−東室蘭間の移動はさほど多くない。特急では東室蘭,苫小牧の乗降客が多く,函館−札幌間の特急北斗・スーパー北斗もこれらの駅で乗客の入れ替わりがかなりある。登別も駅から温泉へのバスの便が良いため,洞爺に比べると列車で訪れる観光客は多い。
東室蘭−苫小牧間の普通列車の乗客は高校生が主で,幌別→東室蘭,白老→青葉・苫小牧,苫小牧→青葉・白老などの他,苫小牧→東室蘭という長距離通学もかなりある。普通列車は3両編成の電車が使用されることも多く,概して席に余裕がある。

●車両

特急すずらんは781系4連。室蘭−東室蘭間は普通列車となるほか,回送のため室蘭−東室蘭間の普通列車にも一部781系が充当されており,特急券なしで特急車両に乗れる乗り得区間として知られている。普通列車は電車の711系3連および気動車のキハ40形700番台,キハ150形100番台が使用されて折り,時刻表の列車番号欄で○○Mとなっていれば電車,○○Dと書いてあれば気動車である。気動車は1両〜4両で運転され,最長では室蘭発苫小牧行きの始発が4両編成となる。


エル特急すずらん

それでは,室蘭本線その2・各駅停車の旅をお楽しみください

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