石狩越後盆踊り
訪問日:2007年9月23日(日)
場所:石狩市本町(石狩さけまつり会場)
石狩市でも北洋漁業が始まった昭和10年代には盛んに越後盆踊りが行われていたというが,戦後は途絶えて「北海盆唄」に取って代わられた。しかし現在は保存会が結成されて,地域の盆踊りで越後盆踊りが復活しているという。
石狩さけまつりの中で郷土芸能として越後盆踊りが披露されるというので,訪れてみることにした。祭り会場の特設ステージでは,若い司会者が進行を担当していた。このような若手の司会者の場合,郷土芸能の出番が回ってきた途端に原稿棒読みになって興ざめしてしまうことが多いが,この2人は妙に盆踊りの紹介に力が入っていた。何と,彼ら自身が盆踊り保存会のメンバーなのだという。観客に向かって盛んにメンバーの募集をしていた。
唄と囃子はテープ音源が使用され,太鼓とすり鉦のみステージ上で演奏された。
基本的には唄も踊りも,高島や虎杖浜と同じである。唄の部分の踊りは「流し」,間奏の部分は「こだいじ」踊りと称していた。「流し」の静と「こだいじ」の動が調和した踊りであり,動きの激しい「こだいじ」は日本海の荒波をイメージしていると説明されていた。また,「こだいじ」には男踊りと女踊りがあるといい,男のほうが腰を深く落としている。
囃子の特徴としては,太鼓のほかに樽ばやしとすり鉦が入る。特に,樽ばやしが入るのは石狩だけだそうである。
七七七五の小唄形式のほかに,七七調連続の口説(くどき)形式のものも唄われていた。小唄形式のほうは虎杖浜とほぼ同じ型をなしている。
小唄形式の歌詞の例
アイヤナーエー 石狩名物 数々コラあれどヤー
まずはナーイヤ はまなすヤ はまなすヤ
アレサ 秋は鮭 ヤーレ
まずははまなすヤ コレサ 秋は鮭
口説形式の歌詞の例
アイヤナーエー ○○も東西 読み上げまする (アーコラドッコイ)
わしは音頭とる 商売でなけども (アーソレカラドシタ)
可愛いあの子に つい誘われて (アードッコイドッコイ)
浴衣がけして 櫓に上がる (アドッコイシャット)
櫓上から 下見下ろせば (アソレカラドシタ)
櫓上から 下見下ろせば (アードッコイドッコイ)
揃ろた揃ろたよ 踊り子が揃ろた (アードッコイドッコイ)
揃ろた揃ろたよ 見物人も揃ろた (ヤッコラサット)
○○○ナーイヤ ○ほど ○○○○○○○ (アードッコイドッコイ)
アレサ ぞくぞくと ヤーレ (アードシタドシタ)
○○○○○○○ コレサ ぞくぞくと
※「○○○」は歌詞不明
プログラムでは11時30分から12時まで30分間の持ち時間が与えられていたが,踊りは11時20分に始まり,わずか10分足らずで終わってしまった。それでも,最後に「あまり長いとみなさま飽きるよ……」の詞が唄われたのは滑稽だった。
越後盆踊り動画(8.6MB)