大通盆踊りwith美唄うまいもの市

訪問日:2010年8月13日(金)

場所:美唄市エビナスクエア

美唄市はもともと稲作を中心とする農業地帯で,1891年(明治24年)の屯田兵入植により開拓が始まり,明治のうちに人口は1万人を超えている。大正期より炭鉱の開発が進み,三菱,三井などが市内各所に炭鉱を有したが,1973年(昭和48年)北菱我路炭鉱の閉山をもって市内の炭鉱が消えた。1950年代のピーク時には9万人を超えた人口も,2010年現在で2万6千人余りまで減少している。

美唄市は,道内では歌志内市と並んで個性的な盆踊りが各所で行われている盆踊りのメッカであるが,中心部では長い間盆踊りが開催されていなかったという。今回の大通での盆踊りは,22年ぶりの開催ということで,新聞,テレビでも大きな話題となった。

 

会場は,美唄駅前の国道沿い一等地にあるエビナスクエアである。美唄市内を貫通する国道12号線は,かつて札幌と旭川方面を結ぶ物流の大動脈であったが,1987年の道央道美唄延伸後は交通量が激減し,昔ながらの商店街がひっそりと残っている。エビナスクエアにはかつて海老名呉服店があったが,のちに100円ショップとなり,さらに100円ショップが閉店した後,2007年10月に店舗が火災で焼失して更地になっている場所である。

18:00〜 子供盆踊り

子供盆おどり唄は,タンポポ児童合唱団盤が使用され,きれいな音で再生されていた。この盤は2002年に廃盤となり,店頭からも完全に姿を消しているが,新しい盆踊りでも採用するところがあるということは,今後もまだまだ使われていくと期待される。

踊りはよくなかった。久しぶりの盆踊りであるほか,美唄市内の盆踊りでは,子供盆踊りに子供盆おどり唄ではなく新美唄音頭が使われることがあるのも影響しているかもしれない。

子供盆踊り動画(MP4,4.4MB)

太鼓は市内の和太鼓会鼓春の少年たちが少数精鋭で担当しており,子供,大人盆踊りを通じて,地味ながら破たんのないばちさばきを見せていた。

 

18時58分,終了。景品は会場に一角に設けられたブースに並んで受け取る形式を取っていた。また景品は「先着100名様とさせていただきます」とあらかじめ告知されており,全部はけていた。

 

会場内には市内の高校生が作成したとみられる行灯が展示されていた。

 

美唄うまいもの市を併催しており,盆踊りの参加者の何倍もの人たちがベンチに座って飲食を楽しんでいた。盆踊りとしては,こういうものはないほうがよいと思うが,純粋に盆踊りだけをやるというのも商業者が集まる街なかではむしろ高等なことなのであろう。

19:00〜 大人盆踊り

大人盆踊りは北海盆唄のテープ演奏で行われた。美唄ほどの町の筆頭格の盆踊りがテープ演奏とは驚いたが,美唄といっても中心部と炭坑の職員,労働者が住んでいた地域ではまったく文化が異なるのであろう。踊りは藤間流菖寿会が先導し,はじめぎこちない部分もあったが,きれいな振り付けを見ることができた。ただその日本調の踊りに炭鉱時代の盆踊りを重ねることはできないが,一般の参加者にはべっちょ踊り特有の所作の名残を見ることができた。会場には提灯以外に明かりがなく,かなり暗い中で踊っていたのも,美唄の盆踊りの特徴を踏襲しているように思われる。曲が1回終わるたびに演奏と踊りが途切れ,そのため盛り上がりに欠けたのは惜しまれる。

大人盆踊り動画(MP4,5.1MB)