ふるさと大盆踊り大会

訪問日:2010年8月14日(土)

場所:はぼろバラ園

羽幌町商工会青年部が主催する全町規模の盆踊り大会である。商工会青年部は,地方町村における盆踊りの主要な担い手であったが,いまや商工会自体がどこも非常に厳しい状況にあり,青年部主催の盆踊りが続いている地域は極めて少なくなっている。羽幌町は一時市制施行も検討された留萌管内の拠点都市で,現在も人口約8000人という規模の割に商業が活発であることが存続の要因だろう。

会場ははぼろバラ園の芝生広場が予定されていたが,昼間に大雨があり,向かいの駐車場に変更された。

18:15〜 子ども盆踊り

会場に到着したのは子ども盆踊りが始まって20分後で,既に大きな輪が出てきた。一重の輪を崩さないために,駐車場の縁石ぎりぎりまで輪が広がるという悪いパターンに陥っていたものの,幸い渋滞には至らず踊りは成り立っていた。

輪の中には,法被を着た青年部員が数人混ざっており,その踊りは全員が非常に正確なものだった。やや恥ずかしそうに,少しだらけたような踊りではあったが,一つ一つの振り付けは,なぜ羽幌でこれほどのものが見られるのかと驚くほど正確だった。恐らく,踊り方を確認した上で,今日に臨んだのだろうが,子ども盆踊りの担い手の心意気としてまったく素晴らしいと思った。

子ども盆おどり唄はタンポポ児童合唱団盤が使われていた。

子ども盆踊り動画(MP4,4.4MB)

18時45分で子供盆踊りが終了。たすきと引き換えに,櫓の前でお土産を受け取っていた。お土産はポテトチップスのうすしお味またはセブンイレブンのコンソメポテトだった。

引き続き開会式が行われた。商工会青年部長のたどたどしい主催者挨拶に続き,来賓として羽幌町長が挨拶に立っていた。今日は例年よりも参加者が多く,盆で里帰りした人たちも大勢参加しているとのことだった。まさにふるさとを感じさせる盆踊りだった。

 

売店,ゲームコーナーも充実していた。本来会場となるはずだった向かいの芝生にも,敷物を広げて憩っている人たちがたくさんいた。

19:00〜 一般盆踊り

一般の盆踊りは仮装で行われた。仮装はなかなか手の凝っているきれいなものだった。

北海盆唄の演奏は太鼓の2人と羽幌民謡会の3人が担当していたが,はじめから太鼓と歌が合っていなかった。それぞれ楷書体のような丁寧な叩き方,唄い方だっただけに気になった。一向に調子が揃う気配がないのは当人たちも困ったようで,たびたび演奏が途絶え,一時は互いにいがみ合うような険悪な雰囲気になって,見ているほうがはらはらした。たしかに,これほど太鼓と唄が合わないということは稀で,どうしようかという気持ちになったのだろう。

その後,テンポを非常にゆっくりとしてみたり,出だしのハァーをやたらと長くのばしてみたり,そういう問題で直るものではないと思ったが,踊りもしっちゃかめっちゃかになりながら何とか合わせようという努力が続けられた。それを観客もわかって,唄が途切れたときには,観客が大きな声で合いの手を入れるなどして,しだいに調子は合っていった。

民謡会3名のうち,唄はほとんど男性一人で担当していた。古今稀な美声だった。歌詞は暗唱で唄っていたが,ビールを飲みながらなので,上の句と下の句を取り違えることが多々あった。それらも一つずつ記録していてはきりがないので,下記にはいちおう本来の歌詞と思われるもののみ掲載する。終わりのほうには,わざとかどうかわからないが,「聞いてください 津軽の海を おらが国さの 盆踊り」のように3つが歌詞が組み合わさったものまで登場した。

1度だけ,合いの手の女性に唄が振られた。女性は嫌がっていたが,いざ唄ってみると,それまで唄われていなかった歌詞が暗唱でいくつも飛出し,実に見事だった。

また途中,こきりこ節が挿入された。羽幌町には五箇山の平村から入植者があった縁で,「羽幌こきりこ唄保存会」がある。このような由緒を持つ民謡が,盆踊り唄として挿入されるのは,北海道では珍しいことである。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界へ 届くまで
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ あいに来た
お前百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の はえるまで
泣いてくれるな 出船の時は 沖で艪櫂(ろかい)が 手につかぬ
はやし太鼓に 手拍子揃え 櫓囲んで 盆踊り
唄に誘われ 太鼓に引かれ 今来たこの道 二度三度
盆が来たのに 踊らぬ者は 木仏金仏 石仏
遠く離れて 会いたいときは 月が鏡に なればよい
はやし太鼓に 手拍子揃え 今来たこの道 二度三度
唄に誘われ 太鼓に引かれ 櫓囲んで 盆踊り
盆が来たのに ○○○ぬ○○は 月が悲しむ ○○○○○
主が唄えば 踊りも締まる 櫓太鼓の 音も弾む
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
お月様さえ 夜遊びなさる おらの夜遊び 無理もないよ
高い山から 谷底見れば 瓜や茄子の 花盛り
ちゃんこ茶屋の婆 お茶出せ茶出せ 煙草盆出せ キセル出せ

最後は,「そろそろ締めますよ〜,ばっちり締めますからね」ということで,気持ちよく終わった。休憩なしで,50分間の盆踊りだった。

一般盆踊り動画(北海盆唄,MP4,6.9MB)

一般盆踊り動画(こきりこ節,MP4,4.2MB)

踊りの終了後,ただちに仮装の表彰式が行われた。商工会青年部長,町長賞,商工会会長賞,商工会女性部長賞,仮装個人賞,仮装団体賞,ミスター盆踊り,ミス盆踊り,パフォーマンス賞の各賞が授与された。

続いて20時から大抽選会が行われた。盆踊りに参加するか,売店で買い物をしてスタンプを5個貯めると抽選券をもらうことができるというしくみだった。特賞には,翌2011年にアナログ放送が終了するという世相を反映して,40インチと32インチのデジタルハイビジョン液晶テレビが用意されていた。