納涼まつり懸賞盆踊り大会
訪問日:2012年8月19日(日)
場所:比布町中央ふれあい広場
盆踊りには,大きく分けて輪踊り型と行進型という2つの型がある。精霊とともに踊る輪踊りに対し,行進型の盆踊りは,盆行事の締めくくりとして二十日盆の前後に行われることが多く,精霊送りの一面を持っているともいわれる。地域の企業や団体が仮装して練り歩く,行進型の盆踊りは,かつて多くの市町村で行われていたものと思うが,現在はなかなか見ることができなくなっている。この比布町の盆踊りは,今では数少ない全町挙げての行進型盆踊りであり,商工会が中心になって開催されている点においても,一時代前の盆踊りをいまに伝える貴重な例である。
8月18日,19日の2日間の日程で開催され,19日にパレードが行われる。主催は比布納涼まつり実行委員会となっている。
18:00〜 仮装パレード
仮装パレードは18時にJR宗谷本線比布駅前を出発した。現在は国道からも外れ,さびれた感のある駅前通りであるが,かつては愛別,当麻方面への交通の拠点として非常な賑わいを見せたという通りである。道路は車両通行止めとしておらず,隊列の横を路線バスがすり抜けていく一幕もあった。
各団体とも,懸賞がついていることもあり,よく揃った踊りを披露していた。途中に音響車が3台されていたが,それぞれ別の音源を流していた。うち1つは三波春夫歌唱の北海盆唄(2バージョンあるうちの恐らく古いほう)を使用していた。
仮装パレード動画(MP4,5.6MB)
個人の参加者。
50分ほどで,終点の中央ふれあい広場に到着し,いったん踊りは終わった。
19:15〜 子ども盆おどり
子供盆踊りとしては,比較的遅い時間の開始である。踊りの輪は速やかに形成され,ところどころに比布商工会の法被を着た人たちが入っていたのは良かったのだが,その中に正しい振付を知っている人が誰もいなかったのは残念である。子供たちも,きちんと踊ろうという姿勢が見えただけに,かわいそうなことだ。
音源は子供盆おどり唄の持田ヨシ子盤が,前奏を一部カットして使用されていた。
子ども盆おどり動画(MP4,4.4MB)
盆踊りの最中には,子供の太鼓体験が行われていた。これは,盆踊りでやってはいけないことの一つ。やるなら,休憩中にすべきだ。さらに悪いことには,役目もないのに櫓に上がって,会場を見下ろしている青年たちがいた。そして,櫓の足場を音楽に合わせてカンカン叩く。これが調子はずれで,非常に耳障りだった。さらには,マイクを持って,チャクコチャンコと歌いだす始末。タブーなことを全部寄せ集めたかのような盆踊りだ。こうした旧態依然の盆踊りは貴重である反面,子供たちのことを思うと,新たな担い手による盆踊りの刷新も必要なことではないかと思った。
20分ほどで子ども盆おどりは終了。その場にしゃがんでお土産を受け取っていた。
櫓下に積まれた,商品の数々。
19:45〜 仮装盆おどり
先ほどのパレードに参加していた仮装の踊り手が再び集合して,本年最後の盆踊りが始まった。音源は北海盆唄のテープ演奏だった。歌い手は不明だが,先ほどのパレードでも使用していた音源の一つで,女性の声で珍しい「恋の大沼 情けの小沼 燃ゆる想いの 駒ヶ岳」の歌詞が入っているものである。踊りは40分間続き,20時25分,終了した。
仮装盆おどり動画(MP4,10.7MB)
20時30分,参加者は行儀よくしゃがんで,表彰式に移った。
実行委員長である比布商工会会長,荒尾孝司氏より挨拶があった。荒尾氏は前月(平成24年7月)に北海道商工会連合会会長に就任されたところである。
審査員は文化連盟会長,旭川信用金庫比布支店長,町産業振興課長,比布町農業協同組合専務理事,比布郵便局長,教育委員会教育長,町保健福祉課長,観光協会副会長,町婦人連絡協議会の各者。
審査員を代表して町文化連盟の合田会長による挨拶に続き,各賞の発表が行われた。
個人の部は12名の参加で,12位から順位が発表された。団体の部は6団体参加。優勝は比布町役場職員による「王様」チーム。商品券10万円のほか,町内7つの企業・団体からの副賞が贈られた。
20時50分,すべての行事が終了した。