達磨寺盂蘭盆会迎え火祭り
訪問日:2006年8月13日(日)
場所:北広島市達磨寺境内
曹洞宗正法山達磨寺は1998年に開山した新しいお寺で,JR北広島駅南西の高台にある住宅地の外れに位置している。開山以来,盂蘭盆会の行事の一環として盆踊りが毎年行われている。お寺で行われる由緒正しい盆踊りと期待して訪れたが,そこで見たのは盆踊りが著しく冒とくされた悲惨な姿であった。
観光客も多く訪れるお寺のようで,境内には記念写真撮影用の達磨やお土産屋もあった。
櫓の前には豪華な賞品が並べられていた。賞品の数は108つだという。
18:00〜 子ども盆踊り
18時から盆踊りが始まったが誰も踊らない。結局誰も踊らないうちに,18時15分から子供たちの太鼓体験が始まった。これにまたずいぶんと長い時間をとられ,ようやく踊りが再開したのが18時35分だった。
太鼓は2人で叩いていたが,調子を外しているというレベルではなく,ほとんどめちゃくちゃといってよいほどである。子ども盆踊り唄のテープはタンポポ児童合唱団版が使用されていたが,異常なほど音量が小さい。再生機材に問題があるわけではない。つまり,主催者やおおかたの観衆は盆踊りなどどうでもよいと思っているわけである。
そのようなことだから,せっかく張り切ってビデオカメラ片手に参加している親子連れや,祖霊供養のために来ている信心深そうなおばあちゃんも,まともに踊ることができず気の毒だった。終了間際になって景品をもらうためにどっと子供たちが増えた。
子ども盆踊り動画(2.8MB)
境内にはビアガーデンのように椅子とテーブルが並べられ,夜店も出て盛り上がっていた。これはこれで良い雰囲気で,常設の工房では岩手の南部せんべいを売っていたので,ひととおり購入しておいた。
19:00〜19:45 大人盆踊り
19時から北海盆唄による大人盆踊りが始まった。最初の15分間は太鼓が休憩に入り,テープ演奏だけが寂しく流れていたが,下手な太鼓がないだけまだ踊りやすい。
北海盆唄は函館の民謡歌手・佐々木基晴歌唱のテープが使用されている。『北海盆唄考』で札幌版のI型と全国普及版のII型を折衷したIII型の例として取り上げられているテープであるが,囃子言葉は全国普及版の「ドッコイジャンジャンコーラヤ」で,「ハ ヤーレット」が省略されており(ただし間をとらないながらも「チョイサ」のかけ声が挿入されている),II型に近いIII型であると言える。歌詞は4番までで,次のとおりである。
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ 何時来たか
来たは十七 蕾の頃に 今は二十一 花盛り
惚れているのに まだ気がつかぬ 色気ないのも 困りもの
北海名物 数々あれど 一に追分 盆踊り
大人盆踊り動画(3.0MB)
大人盆踊りもまた踊り手は少ないままだった。何とか盛り上げようと思ったのか,男がマイクを持って「ホラドッコイ」と威勢良くかけ声を入れ始めたが,それはいかにも普段民謡になじみのない人がするような空しいかけ声だった。しかし例によって終了10分ほど前になって急に輪が膨らみ始め,最後にはとてつもない人の群れになった。踊りが終わると参加者にビンゴカードが配布された。
お盆の行事としてお寺で盆踊りをやるのは素晴らしいことだと思うし,これだけ多くの人が集まったのも,皆盆踊りに何か心癒されるものを期待していたからだと思うが,やるからにはきちんとやらなければならない。このような半端なやり方だと,結局盆踊りではだめだ,ヨサコイでないとだめだということになってしまう。
20時からの花火大会は,今年は関係官庁から許可を得て大規模に開催するということだったが,この盆踊りの様子ではあまり期待はできないと思い,早々に会場を後にした。