くりさわ農業祭
訪問日:2006年8月19日(土)
場所:岩見沢市栗沢中央公園
今年3月に岩見沢市に編入された旧栗沢町で毎年行われているイベントである。農業祭と名乗っているが,栗沢にはかつて美流渡,万字の炭鉱を擁した旧産炭地としての一面もあり,活気ある盆踊りが見られた。会場はJR室蘭本線栗沢駅から駅前をまっすぐ400m進んだところにある栗沢中央公園。土日の2日間にわたるイベントのうち,初日の17時からを「ふれあい宵まつり」と称して,生バンド演奏,大声コンテストに引き続き盆踊りが行われる。
子供盆踊り 18:00〜18:50
広々とした芝生広場に2層のやぐらが組まれる。栗沢太鼓同志会のほか,岩見沢ほろむい太鼓同志会,豊幌太鼓勇志会が参加し,下層の四周に20張,上層に4張の太鼓がずらり並ぶのは圧巻である。子供盆おどり唄はタンポポ児童合唱団版が使われている。
はじめはなかなか子供が集まらなかったが,30分ぐらいたつとようやく踊りの輪ができてきた。ここの盆踊りで特異なのは,前奏の部分で円の中心に向かって前進・後退するとき,隣の人と手をつなぐことである。たしかに普通のフォークダンスならば手をつなぎたくなる振付であるが,盆踊りでは手をつながないのが通例である。
盆踊りというのは精霊を迎えての踊りであって,編み笠を被った踊り手や仮装した踊り手に祖霊の姿を見たり,あるときは踊り手自身に先祖の霊が乗り移るのだという。盆踊りには必ず手拍子を打ち,手のひらを返す所作が入るが,これは神様と自分自身の親しみや尊敬を示すものとされる。そうすると,子供盆踊りの実際に手はつながないが誰かと手をつないでいるように見える所作は,亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんと手をつないでいることを意味しているのではないかと思う。
子供盆踊り動画(4.6MB)
18時50分で踊りは終了。その場にしゃがんで参加賞を受け取る。
大仮装盆踊り 19:10〜20:40
19時からは北海盆唄による仮装盆踊りで,賞金総額30万円,団体優勝10万円,個人優勝3万円の懸賞がかかることから,町内のみならず近隣市町からも多くの参加者がある。2重の輪を作り,団体参加者は外側を,個人参加者は内側の輪を回る。仮装以外の一般の参加も可能で,子供も一緒に踊っていた。
仮装は東洋系の古典的題材からとったものが比較的多い。そのほか個人参加者には小林幸子や桜塚やっくんの真似があり,特異なものとして富良野へそ踊りをもじった「雄良野へそ踊り」のチームがあった。
大仮装盆踊り動画(4.0MB)
太鼓は子供の部に引き続き,栗沢,幌向,豊幌のチームが叩き,囃子には鉦が入る。唄は栗沢町民謡同好会が担当し,男性2名,女性4名が交互にマイクロフォンを握る。歌詞は次のとおり標準的なものが十数種類唄われている。
北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
五里も六里も 山坂越えて 越えて蝦夷地へ 何時来たか
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ 何時来たか
主が唄えば 踊りも締まる 櫓太鼓の 音も弾む
盆が来たのに 踊らぬ者は 木仏金仏 石仏
北海名物 数々あれど 一に追分 盆踊り
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
来たは十七 蕾の頃に 今は二十一 花盛り
高い山から 谷底見れば 瓜や茄子の 花盛り
唄え囃せよ 叩けよ太鼓 櫓囲んで 盆踊り
唄に誘われ 太鼓に引かれ 今来たこの道 二度三度
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
19時50分から20時20分までが仮装の審査時間帯で,審査が終わると仮装の参加者は休憩のために一旦引き上げた。踊りは20時40分で終了し,公園内のステージで行われる表彰式に移った。参加賞は箱入のちり紙だった。