1. 開催経緯
●2010年2月7日(日) 事前打ち合わせ
2月3日から5日まで,占冠村では3日連続して最低気温がマイナス30度を超えた。これは大変なことだと心配していると,「連日の-30℃越えでご満悦」とのメールが届いた。今日は鬼峠フォーラムや山菜市に関わっている仲間内の新年会があり,その中で,今年の鬼峠フォーラムについての打合せが行われることになっている。
村営バスで15時過ぎに湯の沢温泉に到着。湯の沢温泉は9年ぶりだが,建物の雰囲気は変わっていなかった。迎えてくれた宿のYさんは,以前ニニウのサイクリングターミナルに勤めていた方だった。
17:25〜 鬼峠フォーラム打合せ
基本的なプログラムとしては,昨年同様,初日に峠を越えて,その後,フォーラムを開催することとした。これは,2日目に峠を越えを持ってくると,体調が最悪の中で峠越えをしなければならないのが目に見えているからである。
○峠越えのルートについて
鬼峠には新旧2つのルートがあり,過去3回は次のルートをたどっている。今年はどのルートを越えるか,様々な意見が出された。
上り | 下り | |
2007年 | 新鬼峠(24名?) | |
2008年 | 旧鬼峠(3名) | 旧鬼峠(7名) |
新鬼峠(7名) ※取材班のうち3名は峠から引き返す | ||
2009年 | 旧鬼峠(19名) ※雨のため途中で引き返す | - |
旧鬼峠を越えたいと思いつつも,みんなで越えるには厳しすぎるのではという議論はしばらく堂々巡りを続けたが,話をしていくうちに,鬼峠越えは単なる山歩きではなく,歴史をたどることだという思いを強くした。初回の鬼峠フォーラムでは,少女時代に新鬼峠を越えたという方2人に参加いただいているが,仕事で鬼峠を越えたという方も,70歳代半ばでまだ健在である。今回はそうした鬼峠の現役時代をよく知る方々に声をかけてみて,できれば一緒に新しいほうの鬼峠を越えてみようということになった。
○ニニウツアー
鬼峠はニニウの人たちのための生活道路だったが,これまでの鬼峠フォーラムでは,ニニウをきちんと見る機会がなかった。現在は高速道路の工事のためにキャンプ場やサイクリングターミナルが休業しているが,これからニニウはどうなっていくのだろうか。2年後の高速道路開通を見据えて,もう一度ニニウの魅力探しをしていってはどうかとの提案をさせていただき,2日目にはニニウ沼やニニウ山などを巡るニニウツアーを開催することとなった。
○高速道路の工事現場見学
それと,ぜひ今年やっておきたかったことに高速道路の工事現場見学があった。石勝線の工事の際には,ニニウに占冠ホテルと呼ばれるような立派に現場事務所ができ,工事に伴って電化や林道の除雪が行われるなど,ニニウに大きな影響をもたらした。その記録は工事誌としてまとめられており,ニニウの歴史の一ページとなっている。
いままた,道東自動車道の工事で,ニニウで多くの人が働き,そこにまたいろいろな物語が生まれているはずである。しかし,石勝線のときのように何らかの形で記録を残してくれればよいが,もしかしたら何も残さずに工事関係者が去っていってしまう可能性もある。そこで,まだニニウで工事が行われているうちに,工事関係者から直接話を聞く機会をつくってはどうかとの提案も私からさせていただいた。
18:50〜 新年会
一人一品持ち寄りの料理がテーブルに並び,新年会が始まった。マルシェひまわりの観音さんの音頭で乾杯。いきなりワインで始めるのが占冠らしい。
料理は本番よりも豪華なのではと思うほど。これはおなじみ森のかりうど高橋勝美さんのエゾ鹿のタタキ。高橋さんは昨年12月からこの湯の沢温泉で働いている。そのため最近はなかなか猟に出られないそうだ。高橋さんの鹿肉でなければ食べられないという人も多いが,これは本当に貴重なもの。
湯の沢の鉱泉で作った「湯の沢豆腐」。鉱泉ににがりの成分が含まれているので豆腐ができるそうだ。
「鬼峠くん」は健在。昨年の近自然ワークショップでパンを焼いてくださったOさんは,「まあらあのくばん」を診療所跡にオープン。新年会には,村の観光協会に新たに加わった2名の方も参加していた。1,200人の村の観光協会に常勤の職員が3人もいるというのはすごいが,なにやら新しいことを画策しているようだった。占冠村は訪れるたびに何かが変わっている。それが占冠村の魅力だ。
日曜日の夜だというのに村外から仕事を休んで参加した人も数名いた。明日は新聞休刊日ということで,新聞販売店を営んでいる観音さんも久々に遅くまでつき合ってくださった。会は2時過ぎまで続いた。別に鬼峠のことばかり話していたわけではないが,それでも話題はたびたび「なぜ鬼峠を越えるのか」「ニニウとは何なのか」というところに戻った。鬼峠越えには参加者それぞれの人生が重なり合っていたり,ニニウには村の人の特別な思いがあったりして,簡単に語り尽くせるものではないと思った。
●2010年2月23日(火) 開催告知
この日,次の内容で開催が告知された。
いつも鬼峠フォーラムや山菜市、近自然ワークショップなどにご協力、ご参加くださっているみなさま。 こんにちは。しむかっぷのやまもとです。 すっかり春の日差しを感じられる季節になりましたね。今日はハンモックを鵡川の見える家の裏にぶらさげて、さっそく寝てみました。気持ちよかったです。 さて、3月13日(土)-14(日)に今年も鬼峠フォーラムを開催いたします。今年の占冠は極寒&大雪の冬らしい冬になっており、鬼峠の行程も少々心配です。 「どうして鬼峠を越えるのか」。鬼峠を越えることは、昔の占冠のひとと心を通わせること。そして、今はなき道を辿るために、それぞれの思いを胸にひとが集う不思議さ。まるで土地がひととひとを結んでくれているような、そんな場所の意志といったようなものを感じます。 今年も、お時間がゆるせば、是非ともご一緒しましょう〜! このメール、興味ある方への転送を歓迎します。 ____________________________________ 鬼峠フォーラム2010 (占冠村教育委員会・自主創造プログラム) ____________________________________ 日程 2010年3月13日(土)〜14日(日) 13日(土) ●鬼峠を越えてニニウまで 今年は、全行程歩きで時間は長いですが比較的ゆるやかな「仏コース」を辿ります。スノーシューは必要ですが初心者の方も参加可能です。(ただし軽登山程度の体力は必要です) 08:00 道の駅集合 オリエン 08:30 峠越えへ道の駅出発(峠入り口まで歩きます)中央付近のニニウ方面の交通事情(渡し船など)を聞きながら、鬼峠入り口まで歩く 11:30 鬼峠頂上到着 > 昼食(各自弁当) 12:00 下り出発 14:00 ニニウ到着 ニニウワークショップ参加者と合流 ●ニニウワークショップ-1 13:00 道の駅集合 13:10 ニニウの歴史などバスの中で学びながらニニウへ 14:00 ニニウ着<鬼峠越え組と合流> ニニウ神社雪下ろし 雪上奉納相撲 15:00 ニニウ発 ●鬼峠交流会&座談会 16:00 湯の沢温泉着 ひとっ風呂浴びて、座談会準備開始 18:00 鬼峠交流会&座談会 鬼峠、それぞれの想い、峠越えの感想など ニニウ食やエゾシカを楽しもう(観音さんプロデュース&勝美さんの鹿肉) みなさんからの1品持ち寄りをお願いします(できれば占冠の昔からある料理・地元素材を使ったもの) 21:00 終了 2次会 14日(日) ●ニニウワークショップ-2 09:00 湯の沢温泉発 道の駅集合 10:00 ニニウ着 ニニウ沼、ニニウ高速道路、ニニウ小学校跡 など 12:00 ニニウ発 12:30 道の駅着 解散 ____________________________________ 鬼峠フォーラム2007 鬼峠ミーティング2008 鬼峠フォーラム2009 報告はこちら。 http://www.onitoge.org/ninew/index.htm ____________________________________ 参加費 ____________________________________ ●ニニウワークショップ1、2 無料 ●鬼峠交流会 2000円(1品持ちよりをお願いしています) お酒飲む方 1000円 ●宿泊(湯の沢温泉)+朝食 4000円 朝はまあらあのくばんのパンを予定 合計(すべて参加の場合) 7000円 ____________________________________ ●申し込み (略) ____________________________________ ●持ち物 ____________________________________ ◆鬼峠越え参加の方 スノーシュー、ストック、お弁当、飲み物、携帯食、防寒着、着替え ※スノーシューレンタル希望の方は事前にお申し込みください。 ◆ワークショップ-1参加の方 雪の上を歩ける格好、防寒着 ◆交流会 マイ箸、マイカップなどあればお持ちください。 お持ち帰り用タッパも各自お持ちください。 2次会用お酒、おつまみ差し入れも大歓迎です。 ◆ワークショップ-1参加の方 あればスノーシュー、雪の上を歩ける格好、防寒着 ____________________________________ 「鬼峠とは…」 昭和56年まで鉄道もなく陸の孤島といわれた占冠。ニニウはその占冠からさらに鬼峠を越えて3時間の集落だった。現在の鵡川に沿った占冠〜ニニウ間の道が出来たのは昭和35年のこと。入植のはじまった明治41年からこの道が出来る昭和35年まで実に50年以上、最盛期には30戸もの人々が住んだニニウへの唯一の道がこの「鬼峠」だった。この道を通り、夢を求め入植した家族、嫁いできた女、逃げていった男、すべてのひと、すべての物資、そしてひとびとの夢や想いも、すべてこのまぼろしの峠を越えていったのだ…。 |
峠越えには,鬼峠の現役時代を知る会田さんと長谷川さんが同行してくださることになった。ニニウワークショップには,新入小中学校に勤務されていた小山正次先生が参加してくださることになった。
高速道路工事現場の見学については,村の教育委員会からNEXCOに依頼していただき,占冠トンネルの工事現場を見学させていただけることになった。