2001年の着工以来,巨費を投じて建設された道道夕張新得線赤岩トンネル,赤岩橋及び村道日勝赤岩線改め道道占冠穂別線が4月9日開通した。開通後初めての週末となる4月14日,えのページのえさんが新道を走行するツアーを企画され,札幌市よりえさん,zwiebelさん,天空開発さん,前野さん,john_deaconさん,ごんすけさんと私の7名が参加して,北海道の道路交通史に残るであろう歴史的な道路の開通後間もない姿を調査したので報告する。
なお,写真の掲載の順序と,実際に訪れた順序は異なっている。
旧村道日勝赤岩線は国道274号名石橋より分岐し,国道237号占冠中央市街と連絡する道路である。途中赤岩青巌峡にて道道夕張新得線と合流する。旧村道日勝赤岩線の開通と同時に,夕張新得線の赤岩橋及び赤岩トンネルが供用を開始し,夕張新得線の一部がルートが切り替えとなっている。 | |
本年11月に道東道トマムICが供用を開始すると,現在日勝峠を経由している車両の大多数が占冠経由にシフトすると予想され,旧村道日勝赤岩線は道央と道央を結ぶ重要な道路となる。 | |
2009年には道東道が占冠ICまで延伸する見込みで,この時点においても旧村道日勝赤岩線の役割は変わらない。 | |
2011年度には道東道が全通し,旧村道日勝赤岩線は開通から4年あまりをもって,その建設目的の多くを果たし終えるのである。 |
国道274号名石橋分岐。分岐点近くには「名石駐車場」が設置されている。なお当地は占冠村の区域に存する。
行き先案内板には「道東道」の文字がシールで覆ってあった(画像は加工している)。
国道から赤岩青巌峡へはニセイパオマナイ川に沿い,下りの片勾配である。カーブが連続しており,大型車の通行には注意を要する。
道道看板の住所表示には「仁仁宇」の表記が用いられ,行き先案内では「ニニウ」となっていた。
道道夕張新得線合流地点。直進すると占冠方面,左折するとニニウ方面に向かう。
ニニウ方面へ。ここから旧夕張新得線合流点までは,わずかな区間であるが未改良のまま残っており,路面がかなり荒れていた。旧赤岩橋のニニウ寄りにあった赤岩ゲートが,新道の分岐点に移設されていた。
ニニウ方面より旧赤岩橋方面を見る。正面すぐのところにゲートが設置されており,赤岩橋は車両通行止めとなっていた。右前方の道が旧村道日勝赤岩線で,新たに夕張新得線に認定された道。
新旧の赤岩橋。旧赤岩橋は昭和35年に開通しており,かつて標高600メートル余りの山を越えていた鬼峠に代わって,ニニウと占冠本村を結ぶ生活道路となった。
かつて設置されていた遊歩道は赤岩橋の建設により廃道となり,金山営林署が建立した樹霊碑だけが残っていた。樹霊碑の前には小さな駐車スペースとベンチが一つだけ置かれていたが,紅葉の時期には駐車スペースの不足が懸念される。
竣工間もない赤岩橋。「(仮称)赤岩大橋」として工事が進められていたが,結局赤岩橋を名乗ることになったようである。
従来よりかなり高い位置から眺められることにより迫力を増した赤岩青巌峡。名橋・旧赤岩橋は取り壊されるという。
この後,ニニウへ向かった。道路状況は相変わらずである。
ニニウキャンプ場へ行くための吊り橋は一昨年末に撤去され,道道夕張新得線の付け替え道路として新しい「紅葉橋」が完成していた。夕張新得線は断崖の鵡川右岸を避け,再度鵡川を渡って清風山信号場付近に出るのであろう。
この新しい紅葉橋付近には,蛍の聖域とされる「三角地帯」があり,夏になると大量の蛍を生むが,道路建設による影響が懸念される。また,ニニウにはおびただしい数のクワガタが生息しているが,高速道路に電灯が付くと,クワガタはすべて高速道路に集まり,クワガタで路面が滑るのではないかとも言われている。
ドラマ「鬼峠」のロケに使用された「鉄夫の家」と「鈴木さんの家」。両者とも最近解体され更地になっていた。内部には時間が止まったかのように様々な遺物が残されていたというが,解体とともにそれらも土に帰ることとなり,ニニウの歴史がまた一つ消えていくのである。しかし,家の周囲に植えられていた木が,ここに人が住んでいたことを永く伝えていくことだろう。5月になれば「鈴木さんの家」の前で桜や水仙が咲く。
占冠方面にひき返し,赤岩トンネルに入る。延長2114.64メートル,幅員9メートル,NATM工法で施工され,待避所が上下線各1か所設けられている。
赤岩トンネルを出たところで,夕張新得線の旧道と合流する。旧道はゲートで閉鎖されていた。
「道の駅自然体感しむかっぷ」の観光案内コーナー。占冠村の観光協会は従前役場庁舎内に置かれていたが,昨年から道の駅に移り,職員が常駐している。ここのKさんには先月の鬼峠フォーラムの際大変お世話になり,今日も事務室でしばしお話を伺うことができた。旧村道日勝赤岩線の開通による村内の変化はいまのところ感じられないとのこと。
帰りは富良野を廻った。オムカレーを食べたいと思って店を探したが,5時前なのでほとんどの店が営業しておらず,結局唯我独尊にした。オムカレー大盛り,ウインナートッピングで1480円。
報告終了。お読みくださりましてありがとうございました。
今回の企画でお世話になったみなさまに,深く感謝の意を捧げます。