利尻路

鴛泊

Hさんが戻ってくるのは14時だ。携帯電話で連絡すればどこでも迎えに来てもらえるとのことだったので,利尻空港で待ち合わせようと思う。ちょうど14時20分に千歳からの飛行機が着陸する。


利尻空港までは4.3km。ただいまの時刻13時30分。4.3kmを50分で歩くのはかなり忙しい道のりだ。


鴛泊は利尻富士町の中心市街地。利尻1周道路はだいたい幅の広い2車線道路なのだが,鴛泊市街だけちょっと軒先が迫った感じになっている。礼文もそうだったが,車のマナーについての考え方が北海道本島とはだいぶん異なるようだ。路上駐車は平気でするし,それも十分に端に寄らないで堂々と道の真ん中に駐車する。その結果,2車線道路も商店街では1車線ぎりぎりの幅しかなくなっていた。


あまりにも素朴なベスト電器。最近までそうご電器だったそうだ。


セイコーマート利尻。

離島は概して物価が高い。基本的に定価販売である。今ではインターネットの通信販売で何でも手に入るが,離島は送料が別料金だというところが多い。ガソリンもレギュラーで130円/L以上する。利尻にはハイオクがあったが,礼文にはレギュラーしかなかった。
そういう状況の中で,コンビニは価格が本島と同じなので,コンビニがいちばん安いそうだ。品物もそろっていて新しいし値段も安いとなれば既存の商店は太刀打ちしようがない。

北海道宗谷支庁鴛泊合同庁舎 国保鴛泊診療所 パチンコ屋

利尻は役所が多い。礼文ではあまり気にならなかったが,利尻は役所と学校の占める割合が大きいような気がする。意外に思ったが,海の幸には礼文のほうが恵まれており,漁業をやるなら利尻よりも礼文のほうが儲かるのだそうだ。そういう事情もあって,利尻は役所に依存する傾向が強いのではないかと思われる。小さな島に利尻町,利尻富士町という2つの町があるわけだが,合併したら役所が半分になるので島はますます寂れてしまうだろう。そのためか,いまのところ合併の話は出ていないようだ。

夕陽ヶ丘展望台 富士野園地

空港までとにかく歩く。途中に見どころもいくつかあったが,時間がないので通過。


りしり原生花園のエゾカンゾウ。エゾカンゾウは一斉に鮮やかに開花する年と,順々に開花しながら長い間楽しめる年があるという。今年は後者だったようで,それなりに咲いてはいるが写真映りは良くない。それにしても6月15日でこの状態というのは,やはり今年はかなり暖かかったようだ。


ヤマセカムイの碑。妻と子供が夫を待ちわびてついに岩に化身してしまったという伝説の地。


運上屋跡の碑。利尻・礼文の漁場経営の拠点として1823年にここに運上屋が置かれた。和人の場所請負人がアイヌを使役して利益を上げようとしたわけだが,当時既にアイヌは強制労働や出稼ぎ,病気の流行などで人口が激減しており,漁場の経営は困難だったという。幕末の安政4年(1857)には和人漁民(ニ八取漁民)が入りはじめ,次々に魚場が開かれていった。

本泊小学校

へき地4級,児童28,教員7

空港への近道を探して歩いているうちに,鳥居に出会った。


本泊頓宮鳥居。天保9年(1838),場所を経営していた和人により奉納されたもの。

しかし,こんな写真を撮っている場合ではなかった。空からゴーっとジェット機の音がしてきた。

原っぱを走って走って空港を目指したが,10秒の差で着陸の瞬間をとららえることが出来なかった。

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