北海観光節旅行記旅ならば東北

銀山温泉

銀山温泉へのバスは琴乃若関の出身地・尾花沢市を通過する。駅を出たときは3名しか乗っていなかったが,市街からお年寄りがどんどん乗り込み,あと一人乗ってきたらわたしも席を譲らなければならないというところまできた。かなり高度なお年寄りで,車中の平均年齢は80を超えていると思われる。これらの人はみんな銀山温泉に行くのであろうか。銀山温泉は地元の人が通うような庶民的な温泉ではないと思っていたのだが。

案の定,途中のバス停で次々に降りて行き,銀山温泉到着時には大石田駅から乗ってきた3人だけが残された。


銀山温泉到着。


バス停付近から温泉街を見下ろす。温泉街への車の乗り入れはできず,マイカーで来た場合もここからしばらく歩かなければならない。

銀山温泉は大正時代に建てられた木造3階建て,4階建ての旅館で知られている。

ひととおりお土産屋さんをのぞきながら奥へ歩いて行く。

温泉街の奥には散策路があった。


白銀の滝。清涼感抜群。


夏しらず坑。内部は冷凍庫の中のようにひんやりとしており,自然の不思議さを感じた。

長者の池 儀賀市郎左衛門の像 銀山川の清流

 

銀山温泉は名前の通りもともと銀の鉱山だったところ。300年以上前に閉山しているが通り抜け可能な坑道跡が2箇所あり,自由に見学できるようになっていた。

  

温泉街に戻り,新しくできた共同浴場「しろがねの湯」に入浴した。現代の日本を代表する建築家・隈研吾の設計である。狭小な敷地を最大限に利用した素朴な共同湯だが,どういうわけかほとんど宣伝されておらず,お客は他にいなかった。お湯はくせのないあっさりした泉質だったが,いかにも外湯という雰囲気でまあまあ良かった。

結局銀山温泉は建物に頼りすぎという感じがした。宿もなんとなく閉鎖性を感じさせ,気軽に日帰り入浴を楽しめるような雰囲気ではなかった。実際風呂自体はたいしたことがないのかもしれない。お土産屋もぱっとした売り物がなく,いまだに「おしんこけし」を売っているのは良いのだが,後に続くヒット商品がないようだった。温泉街では電線の地中化工事が進められていたが,街路に張り巡らされた電線というのは目障りである一方,日本らしい風景でもある。大正時代建てられた木造旅館と電線は初めからセットで存在したはずで,電線がなくなったら寂しい温泉街になってしまわないだろうかと少し心配である。

入浴を終えて,バス停へ戻る。飲み物は上に行ってから買えばいいと思ったのが失敗。北海道なら100m歩けばどこかにある自動販売機がまったく見当たらないのだ。のどがカラカラのままバスに乗り込む。

銀山温泉14:35発→尾花沢待合所15:06着 大石田駅行 尾花沢市営バス

帰りのバスの乗客はしばらくの間わたし1人だった。このバスには自動放送のテープがなく,運転手さんが肉声で次の停留所を告げていく。

尾花沢待合所到着。ここでようやく飲み物を仕入れ,がぶ飲みする。

花笠音頭に「花の山形 紅葉の天童 雪をながむる尾花沢」と唄われる尾花沢。東北4大まつりの1つとして山形市で踊られる花笠音頭だが,花笠音頭発祥の地は実は尾花沢である。おばなざわ花笠まつりは8月27・28日の開催。少し早かった。花笠音頭はわたしの特に好きな民謡である。

尾花沢待合所15:10発→村山駅前15:45着 村山駅前行 山交バス

 

今度も乗客はしばらくの間わたし一人だった。なにか見覚えのある道路を通ると思ったら,実は4年前に新幹線延伸工事の際の代替バスで一度国道13号を通ったことがあるのだった。その時は高速道路のような立派な道路が印象的だったが,今日は路線バスなので国道を外れて旧街道の軒先を通っていくのが面白い。

このバスの運転士は若かったがやはり非常に親切だった。今回の旅行ではこれまでに7度バスを使っているが,どの運転士さんも極めて親切だった。普段通勤で利用しているくしろバスがあまりにもひどすぎるのでそう感じるのかもしれない。


村山駅前到着。

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