北海観光節旅行記旅ならば東北

川井村

宮古駅前13:00発→川井13:37 岩手県北バス 106急行15便

 

宮古から川井に行く汽車は9時16分の快速リアスが出てしまうと15時49分までないので,バスを利用せざるを得ない。


川井到着。

川井村北上山地民俗資料館

 

4月には休館日だったため見学できなかった。この博物館を見ずして山田線を語れないと思い今回はるばる見学しに来たわけである。

この資料館は素晴らしい。資料館と名乗っているが,博物館のレベルである。わたしも大学の卒業設計で山村の暮らしを展示する博物館として「ニニウ博物館」を設計したのだが,わたしがやりたかったことがすべてここに実現されている。資料は豊富で体系的な展示がなされ,かつての山村の暮らしをそのまま伝えてくれている。

第1展示室は「山人の仕事と祈り」というテーマで「農耕」「山樵・木炭」「狩猟・養蜂」「畜産・運輸・養蚕」「信仰」のコーナーに分けての展示。第2展示室は山里の暮らしと道具というテーマで,のこぎりなど圧倒されるほど多数の道具が展示されている。これらは今年2月に国の有形民俗文化財に指定されている。第3展示室は山間地医療の先人たちというテーマで,かつての個人医院が再現されており興味深かった。映像展示ではかつての農耕の様子がドラマ仕立てで紹介されており,誰が考証したのか知らないがよく再現されていた。

1階は村の図書室になっており,一角が郷土資料室になっていた。ここが素晴らしく充実しており,村内のみならず,その方面の文献が豊富に所蔵されていた。今度時間があったら近くで何泊かしてこの資料室に通ってみたいものである。

荷物が重くなるので購入できなかったが,展示品の目録もカラー刷りの立派なものが2種類あり,川井村の伝説を集めた本もあった。博物館の活動も活発なようで,年に2回程度「資料館だより」を発行している。最近は各市町村とも財政難でこういう文化活動の予算を削られる傾向があるが,ぜひとも今後も活発な活動を続けていってほしいものだ。

結局,ニニウと川井は地形的には似たような山村なのだが,文化の深みがぜんぜん違うのである。仮にニニウで同じような博物館を作ろうとしても,展示物がそんなにないし,伝説も1つか2つしかない。

川井村はエコミュージアムの理念に基づく「木の博物館構想」を持っており,その中核施設として民俗資料館が位置付けられている。資料館の前からは散策道がのびていたが,危険があるため通行止めとなっていたのは残念だった。

それにしても,日本にこういう博物館が1つでもあって本当に良かったと思う。

陸中川井15:13発→茂市15:29着 山田線 快速リアス

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