北海観光節旅行記清水沢まつり&楓まつり

2004年3月11日

追分へ

あれから5日,明日はいよいよ楓駅に最終列車が走る日である。

ある意味,釧路は楓駅にいちばん近いところにあるといえる。楓駅を訪れる人は上りのまりもに乗るためにわざわざ釧路に来たり,あるいは追分や紅葉山に宿を取ったりしなければならないが,釧路からなら仕事が終わったあとそのまままりもに乗ればよい。

例によって帰宅後バタバタと旅行の準備をし,22時30分,ハイヤーで家を発つ。


釧路駅前のローソン。明日の朝食を仕入れようと思ったが,弁当やパンの棚がすっからかんである。これは楓を訪れる人たちの仕業か。

釧路23:00発→追分4:50着 根室本線・石勝線 特急まりも


意外なことに釧路駅は静かだった。車内にもそれらしき人がいることはいるがまばらである。釧路着22時58分のスーパーおおぞら11号からまりもに乗り換えた人はいなかった。11号は定刻より遅れて着いたが,車掌さんがエスカレーターのほうを見てしばらく待っていたので,この日に限っては接続を取る配慮があったようである。


スーパーおおぞら11号から折り返しまりもに乗車する場合,安全策をとって白糠で乗り換えるのが常套手段である。白糠からどっと乗ってくることを期待したが,乗車したのは3名だった。

やはり明日は平日なので,そんなに訪れる人もいないのであろうか。


4時17分,楓駅に運転停車し貨物列車を退避。


追分到着。20名弱が下車。


ファンで賑わう追分駅待合室。

トイレで用を足していると「すいません,楓に行くんですか?」と聞かれた。当たり前である。どう見てもここにいる人は全員楓に行くに違いない。わたしに聞いてきたその人は,追分駅で夜を過ごしたそうだ。駅を締め出されて外で凍えて死ぬ思いをしたという。

ここにいる人は釧路方面からまりもで来た人,駅前のホテルわたなべに泊まった人,駅の外で夜を越した人の3種類からなり,総勢約20名である。だいたいみなわたしと同じくらいの年格好の男で,他に男女の2人連れが1組いた。楓駅というと何か物騒なイメージがあったが,みな心清き善良な好青年という感じだ。そして夜も明けぬうちからみな気が高揚しており,知らぬもの同士,話も弾む。普段は極めて内向的なわたしも,この雰囲気にのまれて少し会話に加わったりした。「臨時列車のこと知っている人〜」とみんなに聞いた人がいたが,誰も手を上げなかった。しかしここにいる人で臨時列車のことを知らぬ人はいるはずがない。

追分5:47発→新夕張6:18着 石勝線 夕張行き普通列車


通常3両編成のところ,本日は4両編成である。

前から2両目が楓行きとなるので,みなその車両に乗り込む。2両目の乗客23名。

運転手さんや車掌さんが3人くらい「おはようございまーす」と元気よく車内に入ってくる。職員の人たちも今日は朝から気合が入っているようだ。

5時30分頃,運転士用の時刻表を何十枚も持った職員が車内にやってきた。今日の楓行きの列車の時刻表の複製品と,古い時刻表の2種類あり,1枚1000円で販売するという。みんな群がり,乗客の大半が購入していた。わたしはこういうものを集める趣味はなかったのだが,つられて一枚購入した。


選んでいる余裕もなかったが,わたしの手に渡ったのは1995年の2621D, 2691D, 2692D, 2629D, 2628Dの時刻表で,きちんと楓往復の列車の時刻が入っていた。

追分駅を出ると車掌さんがオレンジカードの販売にきた。この車掌さんは3月14日をもって定年により車掌の職名を失い,今日が最終乗務になるという。オレンジカードは購入枚数ごとに景品がついていた。

楓賞 (3枚購入)
・本日の楓2往復の携帯ダイヤ(車掌による乗車証明入り)
スーパー楓賞 (5枚購入)
・本日の楓2往復の携帯ダイヤ(車掌による乗車証明入り)
・昭和56年の楓駅・清水沢駅の構内配線図
スーパースペシャル賞 (10枚購入)
・本日の楓2往復の携帯ダイヤ(車掌による乗車証明入り)
・昭和56年の楓駅・清水沢駅の構内配線図
・石勝線の2分目ダイヤ
・11/16のツアーの記念乗車券

わたしはスーパー楓賞を申し込んだ。

 
携帯ダイヤと乗車証明書

 
昭和56年の楓駅・清水沢駅の構内配線図

 
オレンジカード。すべて楓駅の写真である。これらの景品はJR北海道の「事業用」の封筒に収められていた。ファンにとってはこの封筒も嬉しい景品である。

 
さらに中間運転台では,1000円のオレンジカード1枚買うごとにおみくじを1本引けるというゲーム大会が始まった。まったく朝の6時前から何をやってるのだろうかと,冷静に考えてみれば滑稽である。4等賞の「ミッドナイト袋」とは何なのか気になる。カーペットカーのシーツとかもらっても持って帰るのに困る。


滝ノ上〜十三里間で若い車掌さんが車内改札にきた。通常はワンマン運転であるから,これは異例のことである。みんな赤い青春きっぷだとか,楓行きの乗車券だとかそれぞれこだわりの切符を持っているようだ。


新夕張駅到着。ホームには人がたくさん。いよいよまつりの始まりだ。

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