宮古セントラルホテルは「本格的ビジネスホテル」を名乗っているが,観光客もかなり多く宿泊しているようである。しばらくロビーで新聞を読んでいたが,フロントの人は何でも知っているような感じで,食事処など的確に指南をしていた。しかし,日曜日のそれも祭りの日の夜遅くに来て,うまいものが食いたいとか,地の物が食べたいとフロントに血まなこで問い詰める人もいた。観光客もわがままなもので,フロントマンも大変な仕事だと思った。
8月2日(月)
客室数112の本格的ビジネスホテルで,いまどきこのような朝食は貴重である。800円というお手ごろ価格ながら,海藻を主としたこの土地らしい御膳だった。
鉄道時刻表では浄土ヶ浜ターミナルビル行となっているが,停留所の時刻表には該当するバスが見当たらなくてあせった。たしか宮古病院行が近いところを通るはずだと思って乗車。運転手さんに尋ねると浄土ヶ浜ターミナルにも寄るとのこと。このバスでよかったのだ。「観光船に乗るのですか?」と聞かれたので「はい!」と答えると,親切に乗り場まで教えてくれた。観光船も岩手県北バスで運行しているゆえのサービスだろう。
バスは宮古港の傍らを通って行く。海の向こうにすぐ山が見えるのはリアス式海岸ならでは。
浄土ヶ浜ターミナルではわたし1人を降ろして宮古病院へと向かっていった。しかし,毎日浄土ヶ浜を見ながら通院するというのもすごいことだ。
まずは乗船券を購入。満員だったらどうしようかと心配していたが,あっさりと買うことができた。
出港時刻まで少々時間があるので浄土ヶ浜に行ってみる。観光船乗り場と浄土ヶ浜は海岸線の遊歩道で結ばれている。
4年ぶりの浄土ヶ浜。西方浄土というが,ここは本州東端にあるためかあまり霊的な感じがしない。
乗ってみて驚き。定員400人の大きな船に乗客はわたしだけである。乗務員の方に「今日は貸切ですよ」と言われた。自動車旅行者がこの航路を利用することは考えにくいので,利用者があるとすればバスツアーの団体観光客か,鉄道旅行の個人客のどちらかである。しかし団体旅行客もほぼ同じ時間に出港する浄土ヶ浜発着の航路を選ぶようである。観光のトップシーズンなのに個人客0というのも寂しい。浄土ヶ浜〜田老の航路は1日4便設定されているが,定期運行しているのはこの朝の1往復のみで,あとの3往復は15名以上の予約があった場合のみの運行である。お客が減るから予約制となり,予約制となったからお客が減るという悪循環に陥っているようである。
素晴らしく青い海。
外海に出ると結構揺れる。
奇勝が続き,テープで由緒をいろいろ紹介してくれる。
40分の航海を終え田老港に着岸。
折り返しの浄土ヶ浜行きにはバス2台分の観光客が乗船したようで,少し安心した。
防潮堤をくぐって田老市街に入る。この防潮堤は昭和32年に完成しており,同35年のチリ地震津波のときに威力を発揮したという。
田老市街。