写真でバスがバスレーンに入っていないのを見てわかるとおり,危うく置いていかれそうな雰囲気だった。ここからこのバスに乗る人はめったにいないのだろう。
このバスは私が今まで乗ったバスの中で常識から最もかけ離れていた。運賃表示板,両替機,テープによる停留所案内,降車ボタンなど普通のバスにはあるはずのものがまったくない。というかタクシーといったほうが適切なようである。
さて,わたしは安家洞で降りたいのだがどうしたらよいのだろうか。これは運転士さんに直接言うしかないと思って,運転席に身を乗り出して安家洞までお願いしますと伝えた。
運転士さんは紳士で,降りるときには洞窟の行き方を教えてくれた。お菓子の缶のような簡単な箱に運賃を入れて下車した。
安家洞入口。時間が止まっているような景色である。
バス停から少し坂を上ると受付と売店があった。
入洞券は1000円。ここに職員が2人も詰めているのは驚いた。とても商売になるとは思えない。
ヘルメットをかぶって入洞する。
階段はひどくきしみ,龍泉洞に比べるとずいぶん素朴である。
セメントで作った階段も洞窟と一体化しており独特の雰囲気を醸し出している。
腰をかがめなければ通れない狭い関や,岩がごろごろ転がる通路を進む。
神殿 | 万年柱 |
これはすごいところである。実は安家洞はホームページで見たところあまり魅力が感じられず,それほど期待していなかった。しかし空間の豊かさでは龍泉洞よりも安家洞のほうがずっと上である。龍泉洞では手の届くようなところに鍾乳石はないが,安家洞では鍾乳石にぶつかりながら進まなければならない。安家洞の鍾乳石は写真の映りが悪いが,意外にみずみずしくてきれいである。
安家洞はわかっているだけで全長12.6kmと日本一のスケールを誇り,公開されているのはそのほんの一部に過ぎない。それでもスケールの大きさは十分に味わうことができる。
ロケット岩(左)とパゴダ(右) | 一角サイ | バナナ岩 |
見どころを示す看板。 |
有名な「校長先生の泣き所」。
洞窟の中は他に見学者がなかったが,ずっと"さだまさし"らの曲がピアノ伴奏だけで流れていた。たしかにこの音楽がなければ怖いかもしれない。できれば一人ではなく連れを伴って来たいところである。新婚旅行で安家洞に行こうと言ったら喜んで賛同してくれる人,いないだろうか。
しかし龍泉洞もそうだったが,寒い。洞内の温度計を見ると9℃,こりゃ寒いはずだ。