御山の麓には町がさまざまな観光施設を整備している。
浄法寺町歴史民俗資料館をさっと見学。
天台寺そばのかつら庵で遅めの昼食とする。一人で食堂に入るのは抵抗を感じるが,参拝客には一人の人も多いのだから,一人の客を快く受け入れるようでなければお寺のそば屋じゃないと,少々申し訳なく思いつつも,混んでいるところを4人掛けのテーブルに一人で座らせてもらう。
給仕の男は岩手の人には珍しく卑しい顔をしており,一人でめったやたらと忙しく動き回っている。厨房の中は戦場のようだ。しかし店内で食事を待っているのは7,8人であり何もそんなに慌てる状況ではないのである。素人がやっている店のようで,店員に職業人としての美しさがまったく感じられない。
あえて黙ってしばらく座っていたが,10分ほどしてようやく注文を取りに来た。できるのに20分かかるというので,バスの時間を理由にして店を出た。
外の売店でフライドポテトと水を買って腹を満たす。いわゆるファーストフードというのを食べたことがなく,フライドポテトも初めて買った。少年少女が街で買い食いしているのをうらやましく見ていたが,実際食べてみるともさもさとして実にまずいものだった。冷凍品を使っているのだろう。
滴生舎という漆器の売店。浄法寺町は国内の漆の60%を生産している漆の大産地で,地元にも浄法寺塗りという漆器がある。良いと思うものは1万円前後するので松井尚美さん作の箸を一膳お土産に購入する。
このバスは予想していなかった大混雑。天台寺へは二戸から訪れるのが順当なルートなのだ。それもそのはず,荒屋新町−浄法寺間はバスが3往復しかないのに対し,二戸−浄法寺間には11.5往復も走っている。
二戸駅では真っ先に「なにゃーと」へ向かいお土産を大量に購入する。ここは岩手県北部のお土産が一堂に集まっている。実家には乾燥麩,自分用に天台寺土産の「たらちね」を購入。
レジで会計しているとき何やら趣深い煎餅を買っている人を見た。気になったのでもう一度店内を探してみると,二戸周辺の各市町村の煎餅屋の煎餅が何種類も集められていた。全部買うのはとても無理なので,二戸市藤原煎餅店の「藤原せんべい」,二戸市小笠原煎餅店の「昔っこ焼南部せんべい」,一戸町大村煎餅店の「南部せんべい」を買った。
二戸駅の東西自由通路では少女が一人寂しく岩手屋の煎餅を売っていたので,ここでもいくつか購入。
煎餅を満杯に詰めた紙袋をぶら下げてホームに向かった。
この区間では指定席を取っていなくても空いている席に座ることができるはずだが,一応隣の人に声をかけて座ると,「ここ指定席なのではないですか?」とかなり不審に見られた。
連休最終日の八戸駅は乗り換え客で大盛況だった。
八戸駅で購入した駅弁「南部里山海」。ここまで来てようやくまともな食事にありつく。
函館到着。
札幌行き最終便とあって,指定席は満席。自由席も函館から立つ人が出ていたようである。
札幌で23時ちょうど発の手稲行きに乗り換え,23時06分,最寄りの琴似駅に到着。
旅行記終了。読んでいただきありがとうございました。