那須塩原といえば,佐良直美というかつて一世を風靡した歌手が,ひっそりと犬のしつけ教室をやっているという。その事実だけで,何か独特の旅愁を感じざるを得ないが,短い時間の中で,その雰囲気を少しでも味わってみたい。
2人の客を乗せたバスは,まず駅前の広い通りを北西へ向かった。正面に見えるのが那須の山々であろうか。
本州らしい,緑が濃い林の中を行く。
箕輪という交差点で右折すると,北海道にも似た,原野という表現が似合うような車窓となった。ここは那須野ヶ原と言って,開拓された時代が新しいようである。
那須高原大橋を渡る。
那須街道と交差する広谷地交差点。このあたりからいよいよ観光地らしくなってきた。
付近は別荘地になっているようで,不動産屋,輸入家具・インテリアの店,造園屋などがいくつもあった。
いまどき,別荘を持てる人というのはどういう職種の人たちなのだろう。
途中,日本唯一という戦争博物館もあった。
食べ物屋も,和食,洋食,中華と,ありとあらゆる種類があったが,お客さんはどういうところからくるのだろうか。看板は条例か協定で規制がかかっていると思われ,茶系の色で統一されていたが,デザイン的に安直と思われるものも多かった。
一軒茶屋という交差点を過ぎると急な上り坂に差し掛かり,景色はそれまでの多国籍風から和風へと一転した。
バスの終点,那須湯本に到着。