北海観光節旅行記旅はオールデー・オールナイト

元湯鹿の湯

バス停のほど近くに,目指す鹿の湯があるはずである。

道しるべに従って,坂を下りていく。この道はお初という旅館のおかみさんが私財を投じて作ったので「お初新道」と呼ばれているという。

湯の素採取場。冬なので使われてなかったが,名湯の証だ。

元湯鹿の湯

那須温泉・元湯鹿の湯到着。

湯銭を払い,渡り投下を通って浴場へ向かう。

脱衣場と湯殿の間には戸がなかった。脱衣場のほうが少し高いところにあるので,湯殿からの温気でほのかに暖かい。それでいて湿っぽさがなく,実によくできていると思った。建物は明治のままだといい,素晴らしい。

湯殿は,洗い場がなく温度別に簡素な湯船がいくつかあるのみ。お湯はpH2.5の含硫化水素酸性明礬泉で,川湯や草津と同様の泉質だ。那須温泉がこれほどの名湯だとは知らなかった。

那須温泉にはわずか40分の滞在だったが,この鹿の湯に浸かることができただけで十分に来た値があったと思った。

那須湯本10:25発→那須塩原駅11:32着 東野交通 那須塩原駅行き

バスは温泉街でこまめに停車し,地元の人たちもたくさん乗ってきた。年末の買い出しに行く人もいれば,東京の子供たちの家に向かうという人もいた。

「今日はここで降りるのかい」

「いいお年を迎えるように」

「はい,お互いさま」

そんな素朴な会話が交わされていく。

一軒茶屋というバス停からは,奥さん方がみんな眼鏡を首から鎖で吊り下げたような夫婦が4組ほど載ってきた。バスの中で携帯電話を堂々と使い,まったく非常識な人たちだと思ったが,話している内容はメールが届かないとか,あまり頭のよさそうなことではなかった。どんな仕事をしている人たちなのだろうか。

那須高原ではサファリパークなどいろいろ行ってみたいところもあったが,今回は断念した。それでもバスで通っただけで,だいぶん雰囲気はわかったと思う。

来た時のバスは通らなかった,昔ながらの商店街に入った。黒磯の市街地だった。那須塩原市の市役所所在地である。

商店も年の瀬といった感じ。

バスは大半の乗客を黒磯駅で降ろし,終点の那須塩原駅に着いた。

那須塩原11:32発→小山12:00着 なすの270号

郡山始発の新幹線各駅停車の東京行き。16両編成で車内はがら空きだった。

小山12:07発→栃木12:18着 両毛線 桐生行き普通列車

小山駅では時刻表に掲載されている新幹線と在来線の標準乗り換え時分9分に対し,乗り換え時間が7分と短く,しかも券売機で乗車券を買う必要があったので一度改札を出る必要があったが,改札から両毛線のホームが異常に離れており,かなり慌ただしい乗り換えだった。

栃木駅12:20発→出流橋13:16着 栃木市営コミュニティバス 寺尾線

栃木駅ではJRからバスへの乗り換え時間が2分しかなく,今回の旅行の行程の中で,最も危険な箇所だった。しかし,列車は12時18分ぴったりに栃木駅に到着。最近の北海道では,数分の遅れが常態化しているので,定時に到着のは神業だとすら思ったが,本来は日本の鉄道なら当たり前のことである。

2分というのは意外と時間があるもので,バスには余裕で間に合った。

  

バスはしばらく栃木の市内を走り,古めかしい商店の建物がたくさん残っているのを見た。栃木市がこういう町だとは知らなかったが,日光に通じる例幣使街道の宿場町として栄えたのだという。

のどかな一本道をどんどんと進んでいく。

バスは出流への分岐路を一旦右に折れて,星野という集落に向かった。栃木市と鹿沼市の境界にある星野御嶽山入口バス停で折り返し。このバス停には鹿沼市民バス「リーバス」も乗り入れている。

 

出流山に至る途中には,鍋山石灰企業群という石灰鉱山がある。山から道路から真っ白で,車も走るだけで石灰の粉をかぶりそうである。

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