船浮集落は半島の東側にある。イダの浜は半島の西側にあって,集落から500mの山道を越えていく。
美しい道。
丁寧に手入れがされた菜園があった。
大きな給水塔。
飲み水や洗濯に使われた川。
水に恵まれ,良港もある。陸の孤島と言われながらも,現在まで集落が残ったのは,他にはない自然の豊かさがあったからだろう。
切り通しの峠を越える。
そして,イダの浜。素晴らしくきれいだ。
堅く締まった砂浜には,打ち上げられたサンゴや貝が転がっていた。
何もないのに,いつまでいても飽きることがない。時間を忘れるとはこういうことだと思った。
8時の船で船浮に来て,お歳暮回りをしていた人があとからやってきて,写真を撮っていた。小さな集落なのですぐに配り終わって時間が余ったのだろう。
途中で,遊覧船が2回来た。どちらも始めは真正面からこちらに向かってきたが,上陸することはなく,途中で向きを変えて別のほうへ向かって行った。
この美しい場所も,イダの浜を含む半島一帯が,星野リゾートの関連会社の所有地になっているという。今後開発される可能性があるのかもしれない。
砂浜から少し入ったとこには,売店やシャワーがあった。夏には賑わうのだろうか。
イダの浜には45分ほどいて,集落に戻った。船の時間を10分間違えて,危うく乗り遅れるところだった。お歳暮回りの人が,携帯電話で「予定どおり10時35分発で戻る」と話しているのを聞いて気が付いた。
集落が離れていく。また来ることもあるかもしれない。
白浜まで深い入り江の中を行く。内離島にはかつて炭鉱があったという。
いまは無人島だが,かつては畑が作られ,炭鉱の最盛期には人口密度が八重山で最大の480人/km2を記録している。西表島には明治以来,炭鉱の労働者が多数移住したことで,方言と伝統文化の衰退が最も早かったと言われる。この点も,北海道から見て本州のどこかよりもむしろ親近感を感じる理由だろう。
途中の海岸は陸路がまったくない。生活航路でありながら知床や阿寒湖の遊覧船に乗ったような秘境ムードがある。
白浜到着。これから船浮に向かおうとする観光客もけっこういた。行って何をするのだろうか。