8時を過ぎ,いよいよ連休初日の活気が満ちてきた。すべて長椅子の車内はほぼ満席だった。
八戸駅で新幹線に乗り換え。このあと陸羽東線に乗るため,古川までの新幹線特急券を購入する必要がある。
自動券売機前には,案内の駅員さんがいた。指定席を取ることもないだろうと思って,立席+自由席で古川まで買いたいと告げると,それはここで買えないかもしれないと言って,事務室に調べに行ってしまった。しばらく待っていると,指定席で通しで購入したほうが安いからと,いったん外れた列に割り込まさせてくれ,ポンポンと券売機の画面を押して特急券を出してくれた。
東京行きの「はやぶさ」でまずは盛岡へ。盛岡から先は仙台まで停まらないので,乗り換えとなる。
盛岡で25分の乗り換え時間があるが,特急券を通しで買っているため,改札を出ることはできない。このあと,明日の8時ころまで食料を調達できない可能性があるため,パンなどを買いこもうと思ったが,改札内の売店では一時しのぎのようなものしかなかった。
仙台まで各駅停車の新幹線。盛岡発車時点では空きがあったが,「自由席は混みあうことが予想されます」と車内放送があった。
花巻付近の車窓。水田の黄色が鮮やかだ。
古川で陸羽東線に乗り換え。
ここで,東北本線を北上して来られた,よねざわいずみさんと落ち合うことになっている。
私は誰かに師事したという経験がないのだが,勝手に先生と思って慕っている方が何人かおり,よねざわいずみさんはその一人である。インターネットで知り合い,初めてお会いしたのは12年前になるが,本当にいろいろなことを教わった。
予定どおり車内でお会いすることができ,あっという間に鳴子温泉に到着。
ちょうど昼時なので,駅前から「ご利益小道」を通って,食べ物屋さんに行く。
大正10年創業という旅館兼そば屋の「登良屋」で,お店おすすめの「鴨南蛮」をいただいた。
知らなかったが,フランク永井は鳴子温泉と同じ大崎市に含まれる旧松山町の出身だそうだ。同時代に歌を聴けなかっただけに,復帰を願っていたが,叶うことなく2008年に亡くなったのは惜しまれる。「フランク永井歌コンクール」は翌年から毎年行われているという。
コロッセウム風の待合室で,次の列車まで歓談。よねざわいずみさんは,この後も鳴子温泉郷に留まり東鳴子に宿泊されるという。このシルバーウィークに仙台で行われる嵐のコンサートの影響は鳴子温泉まで及び,直前のキャンセルで宿を確保できたそうである。月に1度は鳴子温泉郷を訪れているそうで,今回,その鳴子温泉でご一緒させていただくことができたのは良かった。
この列車は東北本線方面からの接続が良いので,混雑しているかと予想したが,がら空きで拍子抜けした。県境越えとなる鳴子温泉〜最上間は,列車を運行しているJR東日本の路線の中で,最も輸送密度が少ない区間だという。
一方で,道路は伸びゆく。
「農民の家」という名の巨大温泉旅館。
13年ぶりとなる陸羽東線は,いかにも東北らしい車窓が続いた。
中山平温泉,赤倉温泉,瀬見温泉と数名ずつ乗客を降ろしていく。
山形県に入ってからは,川の駅「ヤナ茶屋もがみ」,舟形町「産直処和紙と鮎の里松原」と,山村らしいドライブインが車窓に見えた。
北海道ではまず行われなくなった,稲のはさかけをいくつも見た。