北海観光節旅行記秋の湯殿山・尾瀬

11. 弘法茶屋跡

田麦俣の集落を出て,まもなく六十里越街道は山道の区間に入る。ここから湯殿山本宮までは,尾根沿いをほぼ直線的に約8kmで結び,六十里越街道の見せ場とされている。最短距離を結ぶ尾根道というのは,熊野の果無峠や北海道の初代鬼峠にも共通する古道の定型で,歩いて旅するには最も魅力的な道である。

あさひむら観光協会では,六十里越街道を案内人(山船頭人)付きで歩くトレッキングを実施している。この連休中は,3日間で松根〜志津の全行程を歩くツアーが実施されており,この先はちょうどツアーを追って歩くかたちとなる。

 

いきなり現れた急坂が,蟻腰坂。蟻のように這いつくばらなければいけないことからこの名がついたという。

そうは言っても,参詣道であるとともに生活道路でもあり,登山道とは根本的に素性が異なる道である。したがって,息は上がるものの,歩いていてとても気持ちが良い。

弘法茶屋跡

10分ほどで弘法茶屋跡に着いた。石碑や灯篭は19世紀半ばのもの。その頃には茶屋もやっていたのだろうが,もう150年も時間が止まってしまっている。

「ゆどのみち押印帖」にスタンプを押す。

 

街道を外れて少し下ると,弘法清水があった。手持ちの水が500mlペットボトルの半端分しかないので,ありがたくいただいておく。

弘法茶屋から200m進むと,いったん道は平らになり,馬立と呼ばれる場所に出る。急坂を登ってきた馬の荷物をまとめ直した場所だという。

道端には色とりどりのきのこが見えた。

蟻腰坂の入口から25分,花の木坂に差し掛かる。いったん平らになった道も,ここから再び長い登りに入る。

自動車専用道路の月山道路を横断する。

 

スノーシェッドの上を歩くという貴重な体験をした。

ハシゴを登る。

 

月山道路を渡っても,花の木坂は続いた。その途中にラブラブナがあった。すなわち,連理の木である。

独鈷(どっこ)茶屋跡

 

ここも弘法大師にいわれがあり,独鈷で地面を突くと清水が沸き出した場所だといわれている。戦後まで茶屋が営業していたという。

独鈷清水。登りが続くので,汗もたくさんかく。水場があって良かった。

キャラクターはあさひむら観光協会のカタクリ姫。本来は頭の上にカタクリの花が載っているのだが,すげ笠を被って意味がわからなくなってしまっている。

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