今日一日は尾瀬に充てている。老神温泉に来て初めて知ったのだが,近くに吹割の滝という,東洋のナイアガラとも呼ばれる名瀑があるそうだ。
1時間ほど早起きすれば,後の予定を変えずに訪ねることができそうだったので,まず朝一番で吹割の滝に向かうことにした。
宿のご主人に,バス停は「老神温泉口」よりもその次の「下街道」のほうが道が下り坂で,コンビニエンスストアもあるので良いだろうと教わったので,そちらへ歩いて行く。
昨夜バス停から温泉街までずいぶん下ったはずだが,さらにだいぶん下る。はるか向こうに見える山が尾瀬か。
旧街道の趣がある道を行く。お墓が人家の中に混然として建っているのは,4年前に訪ねた桧枝岐を思い起こさせる。この沼田街道は,尾瀬を経て桧枝岐に通じているので,文化的なつながりがあってもおかしくはない。
道祖神もあった。
「片品川遊歩道,吹割の滝まで45分」の案内板があった。
乗る予定だったバスもわずか停留所2つ分で,歩いても時間的に間に合う。こんな看板を見つけては歩くしかないだろうと,予定を改めて遊歩道のほうに向かった。
「←吹割の滝3,570m」とあった。利根川の支流・片品川に沿って遊歩道が続いていた。
水田は,稲刈りの真っ最中だった。どの水田も手刈りではさ掛けをしている。北海道ではまず見られない風景だ。
ゆっくり歩いて45分ほどで旧利根村の市街に入った。
今では珍しくなった乾電池の自動販売機を2つも見つけた。
吹割の滝はもうすぐ。
吹割茶屋・食堂「賀登屋」は,現在営業していない模様。
ドライブイン滝見茶屋の看板もだいぶん古びており,不安になってくる。
国道に出ると,一転して賑やかになった。
「滝に一番近い」という駐車場がいくつもあった。これでは車で来たらどこに止めたらいいか迷ってしまうだろう。歩いて来て良かった。
「滝入口」の看板が,無数に立っていた。それぞれ別の場所に立っているので,どこが本当の入り口かと思ってしまう。
役所が設置したと思われる,もっとも信頼できそうな看板を頼りに,遊歩道に入ってみる。
するといきなり現れたのは,バラックのお土産屋。
なぜか,カラオケ屋まであった。恐らく,戦後の闇市がこういう雰囲気だったのではないか。
これを見ることができただけでも吹割の滝に来たかいがあったと思った。
バラックさえなく,お墓がお店になっているところまであった。
バラックとはいっても,はじめは人が中に入れるほどの高さと奥行きがあったのが,奥に進むにつれて単なる棚のような造りになっていった。