根室本線

古瀬 ふるせ 無人駅
白糠郡白糠町字和天別
昭和62年3月31日開業
標高34m 4人
交換駅(対向式)
滝川より274.8キロ
音別より9.7キロ
2001.8.4下車

●音別→古瀬の車窓

根室本線その3[浦幌→釧路]の区間では,メインビューポイントといえるところで,特にパシクル湖付近は原野を走る特急をおさめる撮影スポットとして知られている。
音別を出てからしばらくは海岸ぎりぎりを走り,何もない砂浜が続いている。途中,山側にやや開けた谷間にはおんべつ学園があり,知的障害者たちが生活を送っている。逃げ場のない谷底というべきか,世間から隔離された別天地というべきかわからないが,複雑な気持ちにさせられる。
国道とクロスして陸に入ると,右手にパシクル沼があり,ドライブインが建っているのが見える。この辺に駅を一つ作ってほしいところだ。実際戦前には波若信号場があった。辺りは夏でも緑が濃くならない茫漠とした原野だが,大昔からこうだったのか,あるいは人間が木を刈り尽くした跡がこうなのか。戦時中には軍馬の育成牧場にもなったという。このあたりは冬でも雪が降らず,沼は凍り,ぴんと張り詰めた寒々しい景色となる。
やがて両側を防備林で囲まれるようになり馬主来峠越えに入る。この辺は雪が降らないのに,何のための防備林だろうか。16パーミル勾配で2kmほど登って,トンネルで越える。トンネルを抜けたサミットに古瀬駅はある。

●古瀬駅


駅前風景

昭和29年に信号場として開設され,当初から旅客の乗降を扱ってきた。今もわずかに学生が利用しているという。
アクセスは林道しかなく,周囲に人家もなく,停車する列車も下り4本,上り3本と少ないことから,道内屈指の秘境駅に数えられている。左手に写っている待合室は昭和38年築で味があったが,2002年の暮れ頃解体された。隣の2階建ての建物は昭和29年開業時に建てられているが,当初は常駐の職員が詰めていたと思われる。その頃,周辺には20戸ほどの国鉄職員が住んでおり,子弟はこの信号場から汽車に乗って学校に通っていた。

ホームはすべて木造という珍しい形式で,芸術品の趣さえ感じる。2番ホーム(上り)側へ移動するには一度林道に出る必要があって大変だが,1日1本しか停車する列車はなく,基本的に上下とも1番ホームを使用している。

駅前はいきなり林道だが,左側がメインアプローチとなり,街灯が設置されている。しかしこの道も舗装道路に出たところで途切れ,その先は写真のように廃道と化している。しかし,この道こそが有名な馬主来峠で,国道38号の旧道にあたる古い道である。パシクルはアイヌ語でカラスを意味するというが,趣ある当て字をしたものだ。

●見どころ

特になし。

音別 北海道駅前観光案内所 白糠