蕗まつりは大変よくできたイベントだと思う。まず,田舎の祭りにありがちなオジサンのバンド演奏がないのが良い。そして,近年の北海道のお祭りにはつきものの「ヨサコイ」がないのも良い。
今日は,これを見るために来たのである。昨年は日曜日に開催予定だったのが一度雨で流れたので,白糠と音別だけしか参加できなかったのであるが,今年は,白糠町,釧路町,標茶町,弟子屈町,音別町,勢ぞろいである。
白糠ではほかに時雨白糠と駒ディスコという踊りを見たことがあるが,やはり駒踊り音頭がいちばんいい。
これは今日初めて見る。釧路町昆布森地区の郷土芸能として昭和49年2月に創作された踊りである。特産のタコのユーモラスな動きを表現したもので,タコは多幸につながることから大漁の祈りも込められているという。作曲は飯田三郎,唄は原田直之という豪華版で,曲もパレード調,小唄調,かっぽれ調の3部からなる凝ったもの。これまでにも,花博,青函博などに招待されて踊りを披露しているという。
たしかに,踊りは大変洗練されているが,変にあか抜けしすぎて,やや生活感に乏しい気がした。民謡や踊りというのはつくろうとしてつくるものではなく,本来日々の暮らしの中から自然と生み出されるものである。プロの民謡歌手よりも土地の人が唄う民謡のほうが心を打つのはそのためだ。
しかし,昆布森村は釧路町と合併してちょうど50年を迎えるが,いまなおこうして地区の郷土芸能として踊り継がれているのは素晴らしいことである。釧路市,阿寒町,白糠町,音別町は合併する見通しのようであるが,大釧路市となっても各地域の郷土芸能はなくならないでほしいと思う。
標茶町開基100年を記念して昭和60年に製作された踊り。しかししだいに町民から忘れ去られ,危機感を持った人たちにより保存会が結成された。昭和60年制作にしてはやや堅い曲調であるが,変にサンバ調などにしなかったのが良かったのだろう。サンバ調なんかにしたら,保存会も結成されずに完全に忘れ去られたであろう(私の町の上富良野音頭がそうだ)。
今日は30名という大人数での参加だが,明らかに音別の蕗まつり音頭の影響を受けていると思われる組踊りバージョンが披露された。標茶音頭保存会は月1回の定例会で,最近はますます活動が活発になっているとのこと。この標茶の人たちは,ステージを降りた後も,他の町の踊りを見真似で踊ったりと,大変に熱心に感じられた。今回のような祭りによって,各町村が互いに刺激を受けて,踊りが洗練されていくのは大変素晴らしいことだと思う。恐いのはヨサコイウイルスであるが,今日参加していない阿寒町と厚岸町は既にかなりヨサコイウイルスに侵されている。
昭和28年制作,初代コロンビアローズの唄が色っぽい弟子屈音頭。昨年は弟子屈で全日本民踊指導者連盟の全国大会が開催されて,全国の人に弟子屈音頭を踊ってもらって感動したというコメントが紹介された。たしかにあれは感動だった。
いよいよ大トリで音別町郷土芸能保存会が登場。全日本民踊指導者連盟全国大会でもトリをとった北海道が全国に誇る名民踊である。しかし,登場してきてギョエ〜と思った。踊り手が少ないのだ。昨年はたしか24人だった。弟子屈の全国大会では27人だった。しかし今日は18人である。
寂しい。
何かほかに理由があったのかもしれないが,過疎と高齢化の現実を見せつけられたような気がして,大きなショックを受けた。
しかし踊りは相変わらず素晴らしい。蕗まつり音頭は中村あきら作詞,小町昭作曲。私がこれまでに聴いたのはオーケストラ伴奏で女性が一人で唄っているバージョンだったが,今日はデュエットバージョンである。これは音別町開基70周年を記念して北見和夫と小宮恵子によってレコードに吹き込まれたもので,伴奏も笛と三味線が入った民謡調である。
続いて「ディスイズ音別よいところ」。最後の決めである。
期間限定動画(音声付き)
たこ踊り |
標茶音頭 |
蕗まつり音頭 |
4.29MB 48秒 | 3.73MB 42秒 | 4.44MB 49秒 |
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今年は人出が多いので実際には1000人以上の人にあたったのではないだろうか。
私はかなり後のほうに並んだので,盛りが少なくなっていたが,それでも蕗がたくさん入っていておいしかった。