江別観光記

2002年4月28日

私が初めて江別を訪れた(通過した)のは,大学に入ってからである。子どもの頃から家族で札幌には何度も行っていたが,父が徹底して江別を通ることを避け,高速道路か国道275号を通っていたため,江別市街は通ったことがなかった。父がそんなに江別を嫌うからにはどんなにひどい街なのだろうかと,逆に興味を持った。
本格的に江別を訪れたのは大学3年の夏休みである。建築史の講義のレポートで,どこかの町を一つ選んで,その町の歴史的建築物について調べるというものがあった。そこで私は江別を選んだのである。あまり知られていないが江別は全国に誇るれんがの町であり,町全体がれんが色という非常に特徴ある街並みを持っている。それらを調査して回った。

昨年の12月,かねてから作成していた当サイトの北海道駅前観光案内所が函館本線の江別付近にさしかかった。駅周辺の観光案内を書くにあたり,まだまだ江別の見聞が足りないなと感じた。そんな中で掲示板において,江別に詳しい方2人に江別を案内していただけるという話になった。その1人はれんがもちさんで,当サイトの旅行記にもたびたび登場している大学時代の大恩人である。もう1人はミドリ★★さんで当サイト草創期から掲示板にいろいろ書き込んでくださっている。名目上「千古園見学会」ということで桜の時期に実施することとし,4月に入ってから日程の調整を行い,4月28日に実施を見た。

旅行記の題名を「江別観光記」としたが,いわゆる観光地はあまり訪れていない。旅行記の中で紹介している場所が江別の名所だと思われては困るし,私自身今回の旅行では江別のことをいくらも見れなかったと思っている。よく知られた江別の観光地を訪れていないのは,駅から歩いて行けないところを中心に巡ることにしたからである。

よく誤解されることだが,観光地に行くこと自体が観光ではない。また旅行会社による団体ツアーをさして観光と言う風潮があるが,それも適切ではない。毎晩温泉旅館で騒いで,昼間のバスの中で寝ているのでは旅行はしても観光したことにはならない。その意味でツアーを企画する会社のことを観光会社ではなく旅行会社あるいは旅行代理店と呼ぶのは適切な表現だと思う。観光地に行くことや旅行することは観光することの必要条件ではあるが十分条件ではない。その旅行が観光旅行であるかどうかは,どこにどうやって行くかではなく,旅行する人が何をどうやって見るかで決まる。「国の光を観ること」という観光の原義に照らせば,今回の旅行はまさしく観光旅行である。

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